前回までは、土地の基本的な評価方法について述べてきました。今回はその土地の上にある家屋及び構築物等の評価についてふれていきます。
まず相続税法上の家屋の定義についてですが、これは『不動産登記法』に規定する「建物」と同義であるとされています。『不動産登記法』によると建物とは〔屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいう〕と規定されています。
具体的な家屋の評価額についてですが、現行の家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じであります。その理由は、家屋の評価方法が固定資産税評価額を基準とした倍率方式であり、その倍率が1.00となっているからです。算式にしますと
『固定資産税評価額×1.00=相続税評価額』となります。
ですから増・改築等をして、固定資産税評価額が上がれば、それと同額分だけ相続税評価額も上がることになりますし、三年に一度行われる固定資産税評価額の見直しで評価が下がれば、相続税評価額も下がることになります。
また家屋には電気設備やガス設備・給排水設備などさまざまな設備が付属していますが、これらは家屋と構造上一体となっていますし、固定資産税評価額を算定する場合も、評価対象とされていますので、家屋に含めて評価されることとなります。
一方、家の門や塀・庭木や池などの庭園設備等に関しては、家屋とは独立していますので別々に評価されることとなり評価方法も異なります。
しかし、庭園設備といっても例えば京都や奈良にある拝観の対象となる有名庭園から、一般家庭にある簡易な庭の設備まで様々なものがあります。実務上は、客観的にみて相当高額な価値を有するものを課税し、一般的な家庭のものは対象とされないことが通常です。
評価方法は下表の通りです。
以上が家屋及び構築物等の基本的な評価方法です。次回は、建物が賃貸に供されている場合や建築中の建物の評価等、実務上よくでてくる評価方法について説明します。