今回は相続時精算課税制度のうち、住宅取得等資金の贈与と併用した場合の相続時精算課税の特例について説明します。
住宅取得等資金の贈与とは、直系尊属が直系卑属に対して贈与した贈与財産が住宅等を取得するための資金であるとき(これを「住宅取得資金等」といいます)には、平成24年度中において省エネ等住宅に対するものには1,500万円、省エネ等住宅以外の住宅に関しては1,000万円までの金額について贈与税が非課税になるという特例の事を言います。この特例と併用して相続時精算課税制度の適用を選択した者については、2,500万円の特別控除が設けられ、最高で4,000万円まで住宅資金の贈与として直系尊属から直系卑属に贈与することができます。
この住宅取得等資金の贈与の特例と併用して利用する場合の相続時精算課税の特例には以下の要件があります。
《年齢要件》
〈相続時精算課税制度〉65歳以上の親
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〈住宅取得等資金の贈与と併用した場合の相続時精算課税制度〉65歳未満の親
本来、相続時精算課税制度を適用する場合には、贈与した年の1月1日現在において65歳以上の親、受贈者については20歳以上の子とされていますが、この住宅取得等資金の贈与と併用する場合には、贈与者である親の年齢が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。
つまり、相続時精算課税制度を選択する際の贈与者についての年齢制限がなくなります(受贈者の年齢要件に変更はありません)。
《住宅等の範囲》
住宅取得等資金に係る贈与税の課税の特例は受贈者が贈与資金を自己の居住する家屋の取得に充てることが要件となっており、その家屋とは以下の方法により取得した家屋をいい、要件はそれぞれ次の通りです。
①住宅等の新築又は新築住宅等の取得
〈要件〉
・家屋の床面積の1/2以上が居住用であること
・住宅の床面積が50㎡以上であること
②中古住宅等の取得
〈要件〉
・家屋の床面積の1/2以上が居住用であること
・住宅の床面積が50㎡以上であること
・建築後一定の期間内のものであること
③一定の増改築等
〈要件〉
・100万円以上の増改築等であること。なお、居住用部分の工事費が全体の工事費の1/2以上であること
・増改築後の家屋の床面積の1/2以上が居住用であること
・増改築後の住宅の床面積が50㎡以上であること
《住宅等の取得期限》
贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得し、居住することが要件となります。
次回は、相続税の計算の基礎となる財産評価について説明します。