今回から、住宅取得資金等の贈与の特例について2回にわたって説明致します。
〈住宅取得資金等の贈与の特例とは〉
平成23年1月1日から平成23年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属が直系卑属に対して贈与した贈与財産が住宅等を取得するための資金であるとき(これを「住宅取得資金等」といいます。)には、1,000万円までの金額について贈与税が非課税になるという特例の事を言います。
そして、この特例を受ける為にはいくつかの適用要件があります。
今回は適用要件を、次回は具体的な事例を交えて説明します。
〈受贈者の要件〉
次の要件のすべてを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
(1)次のいずれかに該当する者であること。
イ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
ロ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
(2)贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。
例えば、図1のようなケースの場合、夫が住宅取得資金等の贈与の特例を受ける場合、A,B,C,Dは夫の直系尊属にあたるので要件を満たしますが、E,Fは直系尊属には該当しないため要件を満たしません。
(3)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
(4)贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
〈住宅取得等資金の範囲〉
住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する一定の家屋を新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の一定の増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。
〈一定の家屋及び増改築等の要件〉
(1)一定の家屋の要件
一定の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
〈要件〉
・家屋の床面積の1/2以上が居住用であること
・住宅の床面積が50㎡以上であること
・建築後一定の期間内のものであること
(2)一定の増改築等の要件
一定の増改築等とは、受贈者が日本国内に所有し、かつ、自己の居住の用に供している家屋について行われる増改築等のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。
〈要件〉
・家屋の床面積の1/2以上が居住用であること
・住宅の床面積が50㎡以上であること
・増改築等の工事に要した費用が100万以上であること
・居住用部分の工事が全体の工事費の2分の1以上であること
次回は住宅取得等資金の贈与の特例に関して具体的な事例を交えて説明します。