平成20年度の統計によると、全申告件数337万件の内、147万件が簡易課税制度による申告となっていました。全体の約44%が簡易課税制度による申告となります。
今回は簡易課税制度を選択する場合のポイントを解説します。
【ポイント1】選択しなければ簡易課税制度による計算はできません。
簡易課税制度は実際に支払った消費税がいくらになろうと、支払った消費税を課税売上高に応じて以下の表の割合で概算計算します
極端な話、不動産事業を営んでいる預かった消費税100万円の事業者の支払った消費税が1万円であったとしても、簡易課税制度の選択をしていれば50%の50万円が支払った消費税として計算できます。
原則課税だと99万円の納付となるのが、簡易課税だと50万円の納付で済みます。
あくまでも届出による選択をすることになっていますので注意が必要です。
【ポイント2】事業用資産の売却は第四種事業になります。
不動産業を営んでいる事業者が事業用資産を売却する場合には、事業用資産の売却は第四種事業となり、みなし仕入率60%で計算します。
不動産業のみなし仕入率は50%ですので、仮に混同してみなし仕入率50%として計算してしまうと事業用資産の売却収入部分に関しては、差額の10%相当額が不利になります。また、2種以上の事業を行っている場合も同じで、それぞれの事業ごとにみなし仕入率を乗じて計算します。
【ポイント3】一度選択すれば2年間は原則課税に戻れません。
簡易課税制度は、一度選択すれば2年間は必ず簡易課税制度で申告を行わなければなりません。
簡易課税制度の特徴として、①計算が簡単になる②概算計算をした支払った消費税の方が実際に支払った消費税よりも多くなる可能性がある、などが挙げられますが、反面、多額の修繕や事業用資産の購入があった場合には、逆に支払った消費税が計算上少なくなり、納税者に不利となる可能性もあります。
【ポイント4】2年前の課税売上高が5000万円を超えていれば適用できません。
簡易課税制度は基準期間の課税売上高5000万円以下の事業者が適用できる特例制度です。
当年の課税売上高が4900万円でも、2年前の基準期間の課税売上高が5001万円であれば適用できません。