今回は、特定の事業用資産の買換えの場合の課税の特例について説明します。個人が事業の用に供している土地建物等を譲度し、一定期間内に特定の資産を取得し事業の用に供した場合には、課税の繰り廷べが認められます。
なお、特定の事業用資産の買換えの場合に繰延べられる金額は、譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額のいずれか少ない金額の80%相当額ですので、全額繰延べではない事に留意しなければなりません。
【適用要件】
①譲渡資産は事業の用に供している5年起保有している土地建物等であること。
②買換資産は原則として譲渡した年の12月31日までに取得しなければならない。
(買換承認申請をすれば1年間延長されます。)
③取得した買換資産を取得の日から1年以内に事業の用に供すること。
【留意点】
①譲渡資産には棚卸資産は含まれません。
②買換資産が土地の場合には、譲渡した土地等の面積の5倍までの部分の面積に相当する金額が買換資産に該当します。
③買換資産の取得期限
譲渡の日の属する年の12月31日までに買換資産を取得することが原則ですが、特例として、先行取得又は翌年取得見込でも適用が可能です。
【取扱い】
【個別要件】
特定の事業用資産の買換えの特例については、上記の包括的な要件と別に、個別に1号から15号までに該当する譲渡資産に対して、それぞれ買換資産の要件が定められています。
例えば1号規定においては、既成市街地等内にある所有期間10年超の土地建物等を譲渡資産とし、既成市街地等以外の地域にある土地建物等を買換資産とした場合に適用があります。
特定の事業用資産の買換えの特例は、いずれかのパターンに適合する場合にのみ適用されます。譲渡資産、買換資産ともに適用地域に関し、日本国内であればどこでもOKと云う15号規定に関しては、平成18年12月末日までで期限切れとなっています。
※自民党税制調査会が平成19年度税制改正により延長する方針を12月8日付けで検討に入っておりますので、この点も注目です。
譲渡資産 | 買換資産 |
〈1号該当資産〉 既成市街地等内において事業所等として使用されている建物等 又はその敷地である土地等で、その年1月1日における所有期間が10年を超えるもの (5号該当資産を除く。) | 既成市街地等以外の地域内にある次の資産 イ 土地等 (農林水産に供されるものにあっては、市街化区域以外の地域にあるものに限る。) ロ 建物等又は機械及び装置 (農林業用に供されるものにあっては、市街化区域以外の地域にあるものに限る。) |
〈15号該当資産〉 その年1月1日における所有期間が10年を超える国内にある土地建物等 (平成18年12月31日までに譲渡されたものに限る。) | 国内にある土地建物等又は横械及び装置 |