Q.質問
私はAに土地を売りました。売買契約では前年分の固定資産税相当分と土地の分筆費用はAの負担としています。
Aは土地代金は払いましたが、固定資産税相当分と分筆費用を払ってくれません。
土地代金からみると1%程度ですが、いい加減なAの態度に納得できないので、土地の売買契約を解除したいと考えています。解除は認められるでしょうか。
A.回答
契約書で、前年分の固定資産税相当分と分筆費用を買主のAさんが支払うと決めたことは、Aさんの債務であることは間違いありません。そこで貴方はAに対して相当期間、(この場合1週間程度でよいでしょう)を定めて、これらの費用を支払うよう催告し、支払いがないときは土地の売買契約を解除できるはずです。
ところが、法律実務では、契約の当事者がその契約を締結した目的を達成するに欠くことの出来ない債務と、そうではない債務に分けます。通常、前者を要素たる債務といい、後者を付随的債務といいます。この分類は実際に簡単にできない場合が多く、一般的な説明は難しく、個々の事例について検討していかなければならないようです。貴方の場合、土地の売買代金は完済され、所有権移転登記は完了しているようです。ただ前年分の固定資産税相当分と分筆登記費用が支払われていない状態です。要素たる債務である売買契約による売買代金の支払いと、それに対する所有権移転登記はすでに終了しております。この場合、前年分の固定資産税相当分と分筆費用の債務は付随的債務とされます。この不払いを理由に、土地の売買契約が解除できるかという問題です。判例では「…売買代金の支払いとともに公租公課および利息支払いの義務を負う買主が公租公課および利息支払いの義務を怠ったとしても、このような付随的債務の不履行を理由として契約を解除することはできない。」(大判昭13・9・30)としており、最高裁判決も同様な考えです。
従って、貴方が売却した土地の前年分の固定資産税相当分と、土地の分筆費用が付随的債務とみられますので、その不払いを理由にした、土地の売買契約の解除はできないと考えてください。
土地の売買契約は解除できなくても、貴方のAさんに対する債権はあるのですから、解除とは別の回収する方法を考えてみたら如何で