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示談後に生じた症状 予測出来なかった後遺症については…

Q.質問

 私はAの過失による追突事故で3ヶ月入院、治療を済ませ、示談をし賠償金を貰いました。
ところが示談から2年経過した後、後遺症が出て再び入院、加療を要することになりました。
私はAに治療費を請求したのですが、Aは示談で解決済だと云って話し合いに応じません。
私の請求は認められないのでしょうか。

A.回答

   交通事故による損害賠償における示談(和解)とは、加害者及び被害者が互いに譲歩して、加害者が損害賠償として一定の金額を支払い、被害者もこれを承諾することで成立します。その損害賠償請求の交渉で、被害者は将来追加請求をしないという文言が書き込まれることが多く、あなたの場合もこうした文言が書き込まれているようです。示談(民法上の和解)では、一度成立すると、後日この内容に意義を唱えることが難しいような仕組みになっております(民法696条)。これは、契約は守らなければならないという制度的な保証ということが出来るかと思います。

 しかし、一度成立した示談(和解)について、そこで成立した示談の内容以外、当事者は何らかの債権債務を負わないとすると、示談成立当時、まったく予想できなかったような被害(後遺症)が発生した被害者に大変酷な結果となります。
 そこで、この問題について、判例は…示談によって被害者が放棄した損害賠償請求は、示談当時予想していた損害についてのみと考えるべきであって、その当時予想できなかった後遺症等については、被害者は後日その損害の賠償を請求することが出来る(最判昭43・3・15)。と判示しました。これは、示談そのものの効力は否定しないで、将来再び損害賠償請求しない旨の条項を失効させて、示談当時予測できなかった後遺症による損害賠償を認めております。
 あなたの場合も、後遺症が示談を行った事故が原因で起きたものであることを証明し、示談当時予測できない後遺症であること等を明らかにすれば、後遺症による損害賠償請求が可能です。

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