Q.質問
私は兄との二人兄弟です。兄は遠方でサラリーマン生活をしており、私は病弱な老母と同居して金銭面や介護を含め生活の面倒をみてきました。
母が亡くなり母の財産(不動産と預金)の相続となりましたが、兄は、相続は二分の一ずつだと主張しています。
ずっと母の面倒を見てきた私としてはどうも納得できません。私が兄より多く相続できないのでしょうか。
A.回答
民法には寄与分という制度があります。これは法律としては昭和56年1月1日から施行されたものです。審判等では実質上相続人間の公平を図るため行われていたのですが、法律上明確化を図るため規定されたものです。
ところで、法律の規定を見ますと、「共同相続人中に被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者…」 とありますように、被相続人の財産を増やさないまでも、被相続人の財産を維持するにはそれなりの負担を伴います。被相続人自身が仕事をして収入を得ている場合とか、無職の状態でも年金による収入が十分ある揚合は別ですがその財産の維持はそれほど容易ではありません。
ご質問では貴方が被相続人であるお母さんの療養看護とか金銭面の面倒を見てきたということですが、これを他に依頼すると相応の金銭的負担を伴います。しかし、子として親の面倒をみるというだけでは、子として当然のことであると云えますので、親に対する面倒見は特別の寄与とは云いません。貴方の場合、他の相続人と比べて、病弱なお母さんに対する療養看護、その他の経済的援助をしてきたことが、お母さんの財産の増加に寄与したとは云えないまでも、財産の維持に寄与しているということは可能であると考えます。
寄与分の主張は相続人間で協議しなければなりませんが、協議が調わない場合は家庭裁判所に対し、調停又は審判の請求をして行うことになります。