Q.質問
私の理髪店は国道に面しており、何年かに一度は車がはねた小石で前面のガラスドアがひび割れし、交換しなければならず、多額の費用がかかります。このような場合、誰に賠償を請求できるのでしょうか。また、道路管理者である国への請求はどうでしょうか。
A.回答
貴方が云われるような事故は、最近ではほとんどなくなっていると思われます。工事現場から出るダンプカーは、ガードマンが道路付近を圧力のある水をかけて洗い流しており、また、ダンプカーのタイヤに挟まった砂利も洗い落としています。ダンプの荷台にはシートを掛けて、土砂が道路に落ちないように配慮しております。
それでも、ダンプカーから砂利を落としたまま走り去る者が皆無とは言えません。こうした砂利がある状態の道路を車両が通ると砂利が飛ぶ可能性があります。砂利が飛ばされ、事故が起きた場合、誰が責任を負うのかが問題ですが、一次的には砂利を落としたダンプカーを所有する会社ないし運転手で、二次的に直接砂利を飛ばした車の運転手ということになりますが、損害賠償を請求するためには、それらの車の特定とその故意・過失の立証が必要となります。これが非常に困難と考えます。
まず、砂利を撒いたダンプカー又は砂利を撒いた者を特定する必要があります。これは困難と云えます。次に、小石をはねた車の特定と、故意・過失があったことの立証の問題があります。仮に、加害者の特定と故意・過失が立証できたとして、相手が請求に応じればよいのですが、相手が請求に応じない場合、訴訟を提起しなければなりません。それには時間と費用の問題があります。こうした事情を考慮すると、現実的とは言えません。
道路管理者から補償して貰えるか否かですが、道路管理者の責任を問うのは国家賠償法2条で「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」 としております。ご質問では道路の設置そのものに瑕疵があったわけではないので、設置に瑕疵はありません。管理に瑕疵があったかですが、清掃車で貴方の家の前を頻繁に清掃する義務があるとも言えませんので、国家賠償による補償は無理なようです。
そうすると、貴方の側で家の前の道路に気を付けて砂利等が落ちていたらすぐに竹箒等で砂利を道路外に掃き出す等の配慮をするのが一番よい方法ではないでしょ