Q.質問
高齢の私のもとには健康補助食品の案内などがよく送られてきます。中には無断で商品と振込用紙を送付してくる業者もいます。私には全くその商品の必要がなく困っています。このような場合、勝手に商品を処分してかまいませんか。
A.回答
健康補助食品等を販売する業者は、消費者あてに契約もしていないのに、商品に振込用紙も付けて送って来ることがよくあるようです。これは無作為に名簿に基づいて消費者あて送るものです。業者としては、一方的に送付しても、消費者が受け取った以上買わなければならないと勘違いする場合や、送り返すには手間や金がかかるので、面倒と思っても代金を支払う場合があることを狙ったもののようです。
貴方の場合、こうした商法にあわれた訳です。こうした場合、その商品に対する必要もなく、頼みもしないのに勝手に送りつけてきたのだから、その商品を勝手に処分してもよいのではないかが問題です。この場合、法律上勝手に処分できるでしょうか。
民法は659条で「無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産と同一の注意をもって、寄託物を保管する法的義務を負う」としておりますので、自己の財産と同一の注意をもってその商品を保管する法的義務があります。
次に、「特定商取引に関する法律」の規制も受けることになります。その法律によりますと、第59条1項で「販売業者は・・売買契約を締結した場合におけるその購入者以外の者に対して売買契約の申込みをし、かつ、その申込みに係る商品を送付した場合・・その商品の送付があった日から14日を経過する日(商品の送付を受けた者が商品の引き取りを請求した場合7日・・)その送付した商品の返還を請求することが出来ない」としております。このように、勝手に送られてきた商品(この場合、業者から売買契約の申込みとなります)を送り返す義務はありませんが、商品が届いた日から14日間保管しなければなりません。積極的に販売業者に引き取りを請求した場合は半分の7日間の保管義務となります。この期間内に商品を処分したり、使用したりすると業者からの申込みを承諾したことになり、代金支払義務が生じます。
これらの期間(14日ないし7日)が経過したときに始めて勝手に送られてきた商品の処分が出来ることになります。従って、貴方の場合、14日経過した日の後であれば処分できることになります。