Q.質問
私ども夫婦には子供がないので、遠い親戚の幼児を養子にむかえたいと思っています。養子には通常の養子縁組のほかに「特別養子縁組」というものがあるとききました。特別養子縁組とはどのような制度なのですか。
A.回答
特別養子縁組の制度は、民法の一部改正によって、昭和63年(1988年)1月1日から施行された制度です。この制度の趣旨は、生みの親が養育できないような事情がある子に実親に代わる親を与えることを目的にした制度であると云えます。この特別養子をするには、通常の養子縁組をする場合のように当事者の合意だけでは成立しません。養親となる者の請求により、家庭裁判所が審判で縁組を成立させることができると定められており(民法817条の2)この縁組により実方の血族との親族関係が終了することとなります。
また、養親となる者は夫婦であること、そして25歳以上でなければならないと定められ(817条の3・4)、養子となる者の年齢も特別養子縁組の請求時6歳未満(6歳未満から養育している場合は8蔵未満まで可)でなければならない(817条の5)こと、特別養子の成立には養子となる者の父母の同意が必要であること等が定められ、例外として、父母が意思を表示できないときとか、虐待、遺棄等、子供の利益を著しく害するような事情があるときは父母の同意がなくても特別養子縁組を成立させることができます(817条の6・7)。
この制度の従前の養子縁組との大きな違いは、養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了することです。これは戸籍の記載方法についても特別の取扱がなされます。特別養子となった子は実親の戸籍から、養子自身を戸籍筆頭者として新たに編成される戸籍に移り、そこから養親の戸籍に「長男」「長女」というように実子の場合と同様の記載がなされますと、特別養子の戸籍はただちに除籍簿に移され、その公開は厳しく制限されます。
このように、従前の養子縁組と異なり、特別養子縁組は子の保護のために認められた制度であるため、養親からは離縁の請求をすることは出来ません。養親による虐待、悪意の遺棄等養子の利益を著しく害する事由と、実父母が相当の監護が出来る場合に、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求で特別養子を離縁させる審判をすることになります(817条の10)。以上が特別養子縁組の