Q.質問
当社は会社車両の無断私用運転を禁止しています。
ところが、従業員が勤務時間外に会社車両を無断で私用運転し、人身事故を起こしてしまいました。
この場合、会社が自動車損害賠償保障法(自賠法)による責任を負わなければならないのでしょうか。
A.回答
会社が(自賠法)3条の運行供用者責任を負うためには、事故車に対する会社の運行支配、運行利益が及んでいるか否かについて判断するのが通説・判例であると云えます。
判例によりますと、運行支配、運行利益の帰属の判断は、具体的な事実関係について定められるとしても、それは、運行支配についてその運行に対する直接、具体的な支配を意味するものではなく、諸般の事実関係を総合して、これを客観的外形的にみて、「社会通念上会社が車の運行に対し支配を及ぼすことのできる立場にあり、運行を支配・制御すべき責務があると評価される場合」に運行支配が肯定されるものと解されるとしております。
運行利益の帰属も、必ずしも現実・具体的な利益の享受を意味せず、事実関係を客観的外形的に観察することにより、法律上または事実上の何らかの関係で会社のために運行がなされていると認められる事情があれば肯定されるとしています。この事実関係には雇用関係も重要な事項として含まれます。
ご質問の場合、会社は、禁止を犯して私用運転した従業員でも雇用関係はあり、その意味で、従業員に対しても、自動車の運行を事実上の支配、管理することが出来たと云え、運行供用者とみられることになります。勤務時間外の社用車の私用運転であっても、会社の運行支配、運行利益があるとみられます。その結果、会社は自賠法3条の運行供用者責任を問われることになります。
なお、運行供用者責任を否定された例として、Aが友達に2時間で返すと言われて貸したところ、返さないので再三電話で車を返すよう連絡してもなかなか返さない。約1ヶ月後に事故を起こしたという事例で、Aには運行利益も運行支配もないとして、Aの運行供用者責