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高齢者の財産管理補助と保佐、どのような違いが?

Q.質問

父が所有する不動産を売却するため、不動産業者に話をしたところ、父が高齢で、軽い認知症の症状があるので、補助の申立てをして欲しいといわれました。
知人に相談したところ、保佐の申立ての方が良いと言います。
どちらの方法がよいのでしょうか。

A.回答

まず、補助というのは、民法15条で、「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者…」について、家庭裁判所は審判で補助人をつけるというもので、これに対し、保佐の場合は、「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者…」(民法11条)について、家庭裁判所は保佐人をつけるというものです。補助と保佐の差異は、「事理を弁識する能力」が不十分か、著しく不十分かの程度の差ということになります。いずれも、補助開始、保佐開始の審判がなされると、被保佐人には保佐人が、被補助人には補助人が付せられます。保佐人や補助人には同意権が付与されますので、同意のない特定法律は、後で取消すことが出来ることになっております。保佐の場合は、保佐人の同意がなければ出来ない行為が民法13条で列挙されています。これに対し、補助の場合は民法13条で規定する行為の一部に限られています(民法17条)が、どの法律行為について同意を要するかについては申立人が法律行為の種類を明記して申立ての趣旨として裁判所に提出しなければなりません。

 大略以上のような相違があるのですが、補助の審判申立てをしたが、提出された医師の診断書によると「著しく弁識能力が不十分」ということもあり得ます。この場合は、家庭裁判所は補助の審判は出せません。自動的に保佐の審判になるかといいますとそうでもありません。家庭裁判所は申立人の請求に拘束されますので、申立人が申立ての趣旨を補助から保佐に変更する必要が出てきます。そこで、申立人が保佐の審判に申立てを変更すれば、保佐の審判が出来るというのが家庭裁判所の取扱のようです。

 ご質問では、どちらがよいかということですが、本人の弁識能力を尊重する意味でも、補助の審判の申し立てをしておいて、仮に、保佐に変更しなければならないような場合には、裁判所から打診がありますので、保佐の審判の申立ての趣旨に変更するのがよいのではないでしょうか。

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