Q.質問
私は最近、マンション購入の契約を分譲業者との間で締結しました。業者の説明では、南側隣地には長期間建物が建たないから日照や通風は確保される、ということでした。
ところが、手付金を支払った後に隣地でマンション建設の工事が始まりました。契約を解除して手付金の返還を求めることは可能でしょうか。
A.回答
一般に、マンションを購入する場合、将来にわたって日照や通風が確保されることは、当該マンションを購入してそこに居住する人にとっては大変重要なことです。
しかし、マンションは生活の場でもありますので、生活に利便が得られる市街地では、隣地に同様な建物が建設されることはあり得ます。そうなると、将来にわたって、日照や通風の良好な状態が変わらない保証はありません。
ところで、マンション販売業者が南側隣地に長期間建物が建たないと説明したにも拘らず、手付金支払い後南側隣地にマンション建設が始まったということですが、マンション販売業者は専門家ですから、販売に当たっては、日照とか通風といった重要な事項については、出来るだけ正確な情報を提供する義務があります。誤った情報を提供して、それがそのマンションを購入するか否かの判断の基礎とならないようにする信義則上の義務があります。貴方が聞いた、販売業者の不用意な説明によって、そのマンション購入の動機付けになっているとすれば、販売業者の過失による説明で購入を決意した貴方に対する告知義務違反による債務不履行となり、契約を解除して手付金の返還を求めることが可能と考えます。
ところで、マンション販売業者の説明義務違反を原因とした裁判例はかなりあるのですが、実際には販売業者の債務不履行が認められる例は少数です。業者は重要事項説明書に日照や通風等の環境に関する説明をする義務があり、その説明書には業者の不用意な説明が書かれることは少なく、現地での購入説明会では重要事項説明書に基づいた説明がなされることが多い所為かも知れません。