Q.質問
私はAさんに土地を貸しています。
Aさんは住宅を建てて奥さんと住んでいましたが、この度病気で亡くなりました。建物が建てられてから永年経過していて、更新時期も近づいています。また、地代の滞納もあります。
相続人は高齢の奥さんと、別居している成人の子二人のようですが、私は誰を相手に交渉したらよいのでしょうか。
A.回答
Aさんの借地権とこれに伴う地代支払い債務は相続されます。そして、Aさんには三人の相続人がいますが、借地権を誰が相続するかは、遺産分割によることになります。遺産分割があるまでは、Aさんの遺産は相続人全員の共有関係にあります。そして、この遺産共有の解消手続きは、最高裁の判例によると、相続人全員の協議によるか、調停又は審判によらなければなりません。
相続人全員一致で決めるか、家庭裁判所で決めてもらうということです。この協議、調停又は審判ということになりますと、相当長期間を要する場合もあります。
遺産分割が終了していないことを理由に地代の支払いを拒むことはできませんし、現に地代の滞納や、更新等の手続きもあるようですから、遺産分割が終わるのを待っているわけには行かないでしょう。
このような場合、どうするかですが、Aさん死亡前の滞納地代は相続分に応じて、死亡後の地代は不可分債務として相続人全員が全額について責任を負担することになります。地代支払いの催告や、不払いを理由とする解除の通知も相続人全員に対してしなければなりません。借地権の更新又は更新拒絶通知も同様です。
このように、共同相続人が三人いる場合は、手続きが大変です。共同相続人のうちの一人を交渉の代表として選定してもらって、その人と交渉するのがよいと考えます。そして、交渉がうまくいかず、地代不払いによる契約解除や、更新拒絶等の通知を出すような場合は、共同相続人全員に通知する必要があります。