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示談の確定効 -予期しなかった後遺症の請求は-

Q.質問

交通事故にあいケガをしました。数回通院をして治ったようなので、軽いケガと思い示談にしました。
その後、交通事故が原因の予期しなかった後遺症がでて、身体の不調が続いています。
もう一度、損害賠償の請求が出来るでしょうか。

A.回答

交通事故とその事故によって蒙った損害の賠償については、当事者間でほとんどの場合争いになります。その際、示談による解決も大変多いのです。しかし、示談を締結しますと、当事者間の法律関係は確定し、当事者は示談の内容に反する主張が出来なくなるという効果が生じてきます。従って、示談は慎重にしなければなりません。

 それでは、一旦示談をしてしまいますと、この示談の内容に反する主張が全く出来なくなる(示談の確定効)のでしょうか。一般的には、損害賠償の示談をしますと、被害者が一定額の支払を受けることで満足したものとして、それ以上の損害賠償請求権を放棄したとされます。被害者は、示談当時にそれ以上の損害があっても、無くても、示談額を上回る損害の請求が出来なくなります。これが示談の確定効です。

 しかし、うっかり、全損害を正確に把握出来ないうちに、大した被害が無いと判断して示談がなされたような場合、示談によって損害賠償請求権を放棄したとするのは酷です。このため、示談の確定効を排斥する試みがなされています。示談の効力は示談当時予測し得た範囲にかぎるとするものや、示談後予想に反して損害が拡大し、大きな身体障害が残った様な場合、要素に錯誤があるものとして無効であるとするものなど種々ですが、ここではこの問題に踏み込まないことにします。最高裁の判例でも、「‥示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであって、その当時予想できなかった後遺症等については被害者は後日その損害の賠償を請求することができる。」としております。貴方の場合、示談後予期しなかった身体障害による後遺症がでているのですから、もう一度損害賠償請求はできるものと考えます。  

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