PDF

養子の代襲相続について

ここのところ、税制改正に関連した話題が続いておりましたので、今回は少し趣向を変えて、「養子縁組をした相続人の代襲相続について」お話してみようと思います。
まずは左の図をご覧ください。

ご存じの方も多いと思いますが、子が親より先に死亡していた場合、親の死亡による相続権は先に死亡した子の子(孫)に引き継がれることとなります(代襲相続)。
しかしながら、被相続人よりも先に死亡した子が被相続人の養子であった場合には大きな問題が生じることがあります。
右図の場合で言えば、養子の次男Yは代襲相続権を持ちますが、養子の長男Xには代襲相続権がありません。
その理由は、XはAとCが養子縁組をしたときに既に出生しているため、Aの直系卑属にならないからです(Xは傍系卑属となります)。
養子縁組後に出生したYは被相続人の直系卑属であり、代襲相続人となります。
民法を学んだ人なら誰でもそのように教えられてきたと思います。
この件について、令和6年11月12日最高裁判決で改めて判決が下されました。判決主文は「原判決を破棄する」です。
ということは、下級審において「養子の長男Xに対して代襲相続権を有する」旨の判決があったということになります。
いったいどのような理由で養子縁組前に出生していた子に代襲相続権があるとされたのか、少し調べてみました。
原審では、民法889条で規定する代襲相続権を有しない者として「被相続人の直系卑属でない者」を「被相続人の傍系卑属でない者」と読み替えるのが相当であり、養子の長男Xは被相続人の傍系卑属であるから代襲相続権を有する、という判断を下したようです。
過去判例を重視する裁判所において、昭和7年から示されてきた代襲相続に関する判例を覆す判断が示されたこと(最終的には最高裁で破棄された訳ですが・・・)、こんなこともあるのだと驚かされました。
判決全文はとても書ききれませんが、興味のある方は調べてみられてはいかがでしょう。

Contact

土地活用・新規出店・サービスに関するお問い合わせ
ご質問・ご指摘等ございましたらこちらからお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ

TEL 06-6361-2571

受付時間: 09:00~17:00(土日祝休み)

フォームからのお問い合わせ