区分所有補正率について タワマン節税~第4回~
前回までのご説明で区分所有補正率が新たな評価通達の重要なワードであるとお話しました。
区分所有補正率を求めるためにはまず「評価乖離率」、次に「評価水準」を求め、その後「区分所有補正率」を導き出すことになります。
評価乖離率】
評価乖離率は次の4要素を定められた算式に当てはめ求める数値です。
① 区分所有建物の築年数 × ▲0.033
建築時から課税時期までの期間(1年未満の端数は1年に切り上げ)
② 区分所有建物の総階数指数 × 0.239(小数点以下第4位切捨て)
※総階数指数とは、地下階を含まない総階数を33で除した数値(小数点以下第4位切捨て、1を超える場合には1とする)
③ 専有部分の所在階 × 0.018
※メゾネットタイプの場合は低い方の階数
④ 敷地持分狭小度 × ▲1.195
※敷地持分狭小度とは、
敷地利用権(土地部分)全体の面積 ÷ 専有部分の面積(床面積)
評価乖離率 = ① + ② + ③ + ④ + 3.220
【評価水準】
上記で求めた評価乖離率の逆数となります。
評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率
【区分所有補正率】
A 評価水準が0.6よりも小さい場合、区分所有補正率は
評価乖離率 × 0.6 となります。
B 評価水準が0.6以上1以下の場合、区分所有補正は行わず、従来のマンション評価のままで良いこととなります。
C 評価水準が1よりも大きい場合、区分所有補正率は評価乖離率をそのまま用いることとなります。
したがって、これまで問題となっていたタワーマンションについては、多くの場合、上記Cの評価方法を採用することになりそうです。
実際にこの方法でタワーマンションの評価を行った場合には、1.5前後の区分所有補正率が算出されることが多く、言い換えれば従来のマンション評価の5割増しの評価額、しかも敷地権・建物ともに1.5倍の評価となるということです。
間もなく令和6年分の路線価が発表され、令和6年分相続税申告を行うようになれば、このタワーマンション評価を適用することも多くなるため、相続税申告に当たってはより一層の注意が必要といえます。