国税庁は令和5年10月、「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通)」を発遣しました。
この通達の適用については、令和6年1月1日以降に開始する相続からとなります。
タワーマンション節税とは
実勢価格(売買価額)よりも路線価(相続税評価額)が低い傾向にある都市部のタワーマンションを購入することで相続税評価額を圧縮する一方、タワーマンションは人気物件が多く売買市場が活発であるため、相続発生後でも購入時の価額に近い値段で売却できることが多いので、相続税対策としてタワーマンションを購入する節方法が注目されていました。
1. 発端
平成24年頃、個人が相続税対策として東京近郊のマンションを約14億円で購入、その際約10億円の銀行借入を行った。
その後発生した相続により、相続人は当該マンション及び銀行借入の双方を相続取得したが、マンション評価約3億円(財産評価通達による)、銀行借入約10億円となり、相続税納税額は0円となった。
これに対し課税庁側は「申告に用いた評価額は時価との間に大きな乖離がある」として独自の鑑定評価を行い、当該物件の評価額を約9億円と増額更正処分を行った。納税者側は処分不服とし、国税不服審判所による審判の後、訴訟を起こした。
2. 判決
一審二審ともに納税者側の敗訴となり、上告した最高裁でも、令和4年4月1日、納税者側の上告棄却とされ、相続税額2億4,000万円、過少申告加算税(加重計算)約9,000万円の追徴課税となりました。もちろん延滞税も日割で課税されました。
3.通達発遣
上記のような経緯があり、課税庁側は令和5年10月の発遣にいたります。その結果、令和6年1月1日以降に発生する相続から、被相続人の所有する居住用分譲マンションの評価は従来の方法ではなく新通に従って評価することとなり、 分かりやすく言えば高層マンションに対する課が強化されたということになります。
次回はこれまで行われてきたタワーマンション節税の詳細についてご説明いたします。