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個人再生(民事再生)手続と任意整理【前編】

<質問>
私は、個人で飲食店を経営しておりますが、営業不振のため、個人再生手続を利用して事業を継続することができないかと考えています。また、他に任意整理という方法もあると聞きました。個人再生手続と任意整理について教えてください。

<回答>
個人再生も任意整理も、個人あるいは小規模事業者が経済的再生を図るために、債権者に返済条件の変更や債権カットを求める手続です。
今回は、個人再生についてご説明し、次回、任意整理についてご説明することにします。
個人再生は、民事再生法上、通常の民事再生よりも簡易迅速に手続が進められるように設けられた手続です。
この手続を利用するためには、法律で定められた方法により計算した債務総額が5000万円以下であること、継続的な収入の見込みのあることが必要です。そして、少なくとも現在保有している資産の評価額合計(清算価値)と、債務総額に応じて定められた金額(例えば債務総額が3000万超5000万円以下の場合、債務総額の1割)のどちらか高い方を、原則として3年間で弁済しなければなりません。なお、税金等公租公課は一般優先債権であり、再生手続外での弁済を要するため、基本的には申立前の滞納解消が必要です。
また、個人再生には、小規模個人再生と給与所得者再生の2種類がありますが、相談者は給与所得者ではなく個人事業主ですので、前者を利用することになります。
債務総額や継続的収入等の前提条件を充たせば、裁判所に小規模個人再生の申立を行ない、最低弁済額以上の額を原則として3年間、3か月に1回以上の分割支払いによって行なう再生計画案を提出し、これが債権者の多数決で同意されれば(同意しない回答が債権者総数の半数未満かつ債権総額の半額以下であることを要します)裁判所が計画を認可し、計画に従った弁済を行なっていくことになります。
なお、要件が整えば住宅ローンの残っている自宅を残すことも可能ですが、この場合、住宅ローンは全額支払いを要します。また、事業のために必要なリース物件等がある場合には、リース会社と別途弁済協定を結ぶことを要することもあります。
このように個人再生は、必ずしも債権者全員の同意がなくても多数決で一斉に大幅な債務カットを実現することができ、また、裁判所の監督下で手続の透明性(所要期間も含め)が保たれるというメリットがあります。他方、原則として全ての債権者を対象とする公の手続であるため信用不安や風評等による顧客離れや取引条件の見直し等が生じ、事業価値が棄損されるリスクがあるというデメリットがあります。

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