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足のむくみを軽視しないで!

最近、足のむくみを訴えて来院される方が意外とおられます。足のむくみの原因は様々で、中には重大な疾患が隠れている場合もあります。足のむくみを引き起こす原因には、全身性のものと局所的なものに分けられます。

A.主な全身性の原因
1.心不全を原因とする場合
心臓の働きが弱ると余分な水分が血管内にうっ滞し、それが血管の外にしみだしてむくみとなります。息切れなどの症状を伴うことがあり、胸部レントゲンや心臓の超音波検査などで診断します。また血液検査のBNPという数値も心臓にかかる負荷の程度を知る指標として参考にします。利尿剤が症状緩和に有効なことが多いですが、重症の場合は循環器内科の受診をすすめます。
2.腎不全を原因とする場合
腎臓の働きが低下し、余分な水分や塩分を排泄できなくなることにより、心不全と同様に余分な水分が血管にうっ滞します。また大量に尿タンパクが出ると血液中のタンパクが減ってしまい、これもむくみの原因となります。利尿剤はかえって腎機能を悪化させる可能性もあります。重症の場合は腎臓内科を受診すべきです。
3.低栄養を原因とする場合
何らかの原因で食事が十分に摂れない場合、または腸や腎臓からタンパクが漏れてしまう病気では血中のアルブミン値が低下します。膠質浸透圧が下がり血管の外に水分が漏れやすくなります。栄養管理が重要です。

B.主な局所的な原因
むくみが見られる足に原因がある場合です。片方の足の場合が多いようです。
1.下肢静脈瘤がある
静脈の弁の働きが壊れて血液が逆流することが原因です。足がだるい、つりやすいなどの症状があります。治療はストッキングと手術ですが、最近では体への負担が小さい血管内手術が行われるようになっています。
2.深部静脈血栓症がある
足の静脈が血栓で詰まってしまう病気です。片方の足全体が急に赤く腫れます。病気やけがで寝ている時や、長時間乗り物に乗っている時などに起きやすいと言われています。血栓が足の静脈から飛んで肺の血管に詰まる肺塞栓症(一般にはエコノミー症候群とよばれています)の原因となる可能性があり、命にかかわることもあります。治療は血液を固まりにくくする薬を使います。
3.リンパ浮腫がある
リンパの流れが悪く足が腫れる病気です。片方の足の場合が多いですが、両足のこともあります。次第に皮膚が固くなり象皮病と言われる状態になります。ストッキング着用やマッサージが治療の中心ですが、手術が行われる場合もあります。

C.高齢者の慢性下肢浮腫
これは検査をしても原因が特定できない足のむくみで、慢性下肢浮腫と呼ばれています。足のむくみは長時間同じ姿勢で座りっ放し、立ちっ放しでいたり、歩いていたとしても、十分な歩行ができていないことが原因で起こります。様々な検査をしても、明らかな原因は認めません。例えば健常者でも長時間立っていたり、飛行機に乗った後は足がむくみます。特に高齢の方ではむくみやすくなります。あまり歩かずに、座りっ放しの生活をしている方でよく見られます。
これら原因が特定できないむくみに対して、軽いむくみであれば、特に何もしなくてもかまいません。歩くなど足の運動をすると、足の静脈の血液が筋ポンプ作用で心臓に送り返されるため、静脈の血液が溜まりにくくなり、むくみにくくなります。圧迫靴下も有効です。特に、高齢者の慢性下肢浮腫を予防するためには、普段身近にいるご家族やヘルパー、介護士などが慢性下肢浮腫に関する知識をもち、原因となっている生活習慣を改善に導いていただくことが大切です。

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