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健康診断で尿潜血陽性・血尿を指摘されたら?

健康診断(健診)では必ず尿検査が行われます。多くの健診の検尿は試験紙法によって検査されますので、血尿といっても潜血反応のみで、本当に赤血球が尿中に出ているかどうかは再検査をする必要があります。尿潜血陽性という指摘を受けた場合には、なるべく二次検査として尿沈渣を受けるべきです。尿沈渣を受け、腎臓内科的な病気なのか、泌尿器科的な病気なのかを見分けることが重要です。尿沈渣で赤血球が出ているならば血尿ですし、その血尿のタイプ、赤血球の形を見れば、その血液がどこから混入したかがある程度わかります。糸球体型赤血球と呼ばれる、形が崩れた赤血球が主体の血尿の場合には、糸球体の病変から血尿が起こっています。糸球体腎炎の可能性が高く、腎臓内科を受診する必要があります。
 糸球体性血尿ではなくて、糸球体を通っていないような、形が崩れていない赤血球が混入している場合には、泌尿器の病気である可能性があり、泌尿器科で検査をしていただく必要があると思います。

再検査をして
1.尿潜血が陰性、あるいは尿沈渣で赤血球が見られない場合(一視野に赤血球が5個未満の場合)は、それ以上の精査は必要なく、1年後の再検でいいでしょう。

2.赤血球が認められた場合には、精査をしておくべきで、尿細胞診と超音波の検査です。何も異常が見つからなければ、あとは年1回の健診を受けていただき同程度の血尿ならば精査は必要ありません。

3.再検査以降は、肉眼的な血尿が出るとか、泌尿器系に痛みや頻尿といった自覚症状があるとか、もしくは蛋白尿が出るといった変化がない限りは年1回の健診でいいと思います。

4.尿潜血のあるなし以外に膀胱がんのリスクがあるかどうかも考慮に入れたほうがいいでしょう。正常な形の赤血球タイプの血尿が見られる方の中で、尿路のがんリスク因子をもっている場合(左記参照)、超音波検査や尿細胞診だけではなく、膀胱鏡の検査が必要です。一度泌尿器科で診てもらったほうがいいでしょう。
(膀胱がんのリスク因子:男性でいうと40歳以上、喫煙、発がん性のある有機溶剤の使用歴や化学療法を受けた既往のある方)

5.腎臓内科的、もしくは泌尿器科的精査をして異常がないならば、年1回の健診で検尿を受け、何か新たな変化がなければ、それ以上の精査を繰り返す必要はないとされています。(変化とは、蛋白尿が出てくるような場合は腎臓内科的な病気に進展している可能性がありますし、肉眼的血尿が出たり、尿排泄の際に痛みなどの自覚症状を伴うような場合には泌尿器科的な疾患に進展してきた可能性があります)その際にはあらためて精査をする必要があります。

最後に、異常がなくて経過を見ている過程で、再検査が疎かになりがちです。異常がなくても、定期的に再検査、経過観察を行ったほうがいいです。一度きちんと精査を受けて、その時点で何も病的なものが見つからない血尿に関しては、年に1回の健診の検尿によるフォローアップでいいとされています。しかし、悪性腫瘍由来の血尿がある場合には、初めは軽微でも、だんだん症状が強くなり、経過中に病状が発展する可能性が高いので、蛋白尿が出るとか、肉眼的血尿が出るとかした場合が次の精査を行うきっかけになることが多いと思います。血尿は軽視されがちですが、重大な病気が潜んでいることもあります。年一回の健診の検尿にご留意ください。

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