日本人は、塩分摂取量が多く、厚生労働省の定める「成人1人当たりの塩分摂取量」の目標値は、男性では9g未満、女性は7.5g未満となっています。
しかし、日本人の全国平均を見ると、男性は11.8g、女性は10.1gと、男女共に目標値を大きく上回っています。塩分が体に及ぼす影響を知り、減塩に努めましょう。
☆塩分の摂り過ぎが招く病気
(1)血管の病気
①高血圧
人間の体には、塩分濃度を常に一定に保つ働きがあります。塩分を摂り過ぎると、血中塩分濃度が高くなり、それを下げるために水分の取り込みが増え、血管がパンパンになります。結果、血管壁に高い圧力が加わり、「高血圧」になるのです。
②動脈硬化
高血圧の状態が続くと、血管壁がもろくなったり、柔軟さが失われて硬くなったりします。この状態が「動脈硬化」で、心臓の血管に起こって血流が途絶えると「心筋梗塞」となり、脳の血管に起こると「脳梗塞」や「脳出血」を発症するなど、命に係わる病気を引き起こします。
(2)慢性腎臓病(CXD)
腎臓は、体内の余分な塩分や老廃物をろ過する働きをしているため、塩分を摂り過ぎると腎臓に過度の負担がかかります。この状態が続くと、腎臓の働きが慢性的に低下し、「腎不全」を招いたり、透析療法が必要になることもあります。
☆減塩の取り組み
(1)自分が摂っている塩分量のチェック
減塩の第一歩は、自分が日頃、どの位の塩分を摂っているのかを把握することです。手軽に知るには、「塩分チェック表」を用います。(医療機関で入手できます)
(2)減塩のための工夫
①塩分の多い調味料を減らしたり、減塩味噌や減塩醤油を使ったり、うどんやラーメンなどの麺類を食べる時には、汁は残すようにしましょう。
②薄味に慣れる
薄味を続けていけばやがて慣れ、それが〝普段の味”になるものです。薄味のほうが素材の味などが感じられておいしい、と思えるようになるでしょう。又、子供にも薄味を習慣づけることが大切です。
☆減塩の効果
減塩の効果は、すぐに現れるものではありません。ただ、減塩を続けることで、降圧薬の効き目を高めることになります。高血圧の改善は動脈硬化の進行を抑えることにもつながるため、「心筋梗塞」や「脳卒中」などのリスクを減らすことができます。適度な薄味の食事が習慣になれば、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながります。
☆生活習慣病を予防するには、信頼できる「かかりつけ医」をもつ
①患者さんのことをよく知った上で、永く診てもらえる「かかりつけ医」をつくっておくことが大事です。健康診断で生活習慣からくる異常を指摘された場合には、まず「かかりつけ医」を受診しましょう。
②専門的な治療や検査が必要になったら、腎臓の専門医を紹介してもらいます。専門医に診てもらった後は、再び「かかりつけ医」のところで日常的なケアを受けます。多様な治療を継続していくことが必要なため、医師と信頼関係を築くことが大切です。