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若い年齢で発症する『遺伝性乳がん・卵巣がん症候群』とは

 乳がんの5~10%が遺伝によって起こるといわれています。関係する遺伝子として、BRCA1とBRCA2という二つの遺伝子が見つかっており、これらに生まれつき変異があれば、ない人に比べ、乳がんになるリスクが10倍以上にも高くなります。若い年齢から発症したり、両側の乳房にがんが発生しやすいと言った特徴があります。乳がんだけでなく、卵巣がんになるリスクも高くなることから、最近では『遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)』とも呼ばれています。

☆遺伝子と乳がんのタイプ
変異があった遺伝子によって、発症年齢の分布や発症する乳がんのタイプに違いがあります。
1BRCA1の変異がある場合は、若年発症の傾向が強く、40歳ごろから卵巣がんのリスクも高くなります。トリプルネガティブ(ホルモン剤も分子標的薬も効果が期待できない)タイプの乳がんが6~7割と極めて多いのも特徴的です。
2BRCA2の変異では、一般的な乳がんより発症年齢が若い傾向はあるものの、卵巣がんを伴うことは多くありません。また、ホルモン剤が有効なタイプが7~8割を占めるのも一般の乳がんと同様です。

☆遺伝子検査とは(本誌2012年11月号vol167でご紹介しました)
 一般の血液検査のように採血するだけです。血液から遺伝子を取り出し、HBOCの原因となるBRCA1と2の二つの遺伝子の変異を調べます。
 遺伝子検査を行っている医療機関は、HBOCの研究者団体である日本HBOCコンソーシアムや、遺伝性疾患を広く扱っている全国遺伝子医療部門連絡会議のホームページで調べられます。
 遺伝子検査の費用は20万~30万円程度が目安になるでしょう。

☆遺伝性乳がんの治療は、一般の乳がん治療と違いますか?
 手術や放射線療法、薬物療法などは同様に行いますが、治療法の選択が違ってくることがあります。
①乳房温存手術を受けると温存した乳房内の再発リスクが高く、術後には放射線を当てるため、再発した場合、切除した乳房の再建手術は行いにくくなります。そのため、通常なら温存手術が可能な人でも、乳房を全摘して再建手術を選択する場合があります。
②反対側の乳房のリスクに対しては?
 乳がんの手術後に行われる薬物療法(ホルモン剤や抗がん剤など)は、反対側の乳房に新たにできるがんの予防にもなります,欧米では予防的に、反対側の乳房の切除手術と再建手術を併せて行うことがあります。

☆卵巣がんに対しては?
 婦人科で検診を受ける必要がありますが、卵巣がんは早期発見が難しいため、予防的な卵巣の切除手術(リスク低減卵巣卵管切除術)が最も有効とされています。乳がんの発症リスクを減らす効果もあります。手術は、通常、開腹せずに腹腔鏡を使って行われ、入院は2~3日です。但し、両卵巣を摘出すれば人工的な閉経となるため、欧米では35~40歳頃に、出産の完了などタイミングを見計らいながら手術を受けることが勧められています。最近、日本でもこの予防的な卵巣切除を行う医療機関も出てきましたので、特にBRCA1の変異がある人にとって、今後、選択肢の1つになってくるでしょう。
 生まれつきBRCA1あるいはBRCA2遺伝子に病的変異がある女性でも、全員が乳がんや卵巣がんになるわけではありません。乳がんしか発症しない方もいれば、乳がんを発症した後で、卵巣がんになる方もいます。又、一生涯どちらにもならない方もいます。重要なのは、「乳がんは早期に見つけて治療すること」で、検診にマンモグラフィだけでなく、超音波検査やMRI検査を取り入れ、より精密に頻繁に行うことが大切です。

☆電子タバコの健康被害の有無を考える
 電子タバコの中には、普通のタバコの9割がたタールを削減できた、と言ってますが、まだ研究段階じゃないでしょうか?ある企業でも数年のテストを実施している最中のようです。ですから、電子タバコを全体的にみて、現時点では医学的効果は「不明」と言うことではないでしょうか。

 今回、禁煙指導の流れで一部の電子タバコを検証しましたが、タールを減量できるだけで、ニコチン依存は改善できず、禁煙には全く繋がらない印象をもちました。

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