風邪は治ったはずなのに、数週間経っても咳がちっとも治まらない。このような症状が続いたら、それは咳喘息かも知れません。喘息と同様、気道が狭くなり、いろいろな刺激に対して過敏になって、炎症や咳の発作が起こります。この病気は、特にアレルギーのある人に多くアレルギー反応によって、気道が炎症を起こしてしまうのです。風邪に併発して起こることが多く、風邪をひいたあとに2~3週間以上、咳が続くことがあれば、この病気の可能性があります。女性に多く再発を繰り返します。
咳喘息の症状―喘息との違い
咳喘息とは喘息特有のゼーゼー、ヒューヒューや呼吸困難が無く、咳だけが続く。
①咳喘息にかかると、一カ月以上、空咳(からぜき)が続きます。
②喘息に見られるゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難はありません。
③発熱や痰(たん)などの症状はほとんど出ません。
④夜中から明け方に激しい咳が出たり、寒暖の差や喫煙で咳が出やすくなるのが特徴です。
咳喘息は喘息の前段階ともいわれて、放置すると本格的な喘息に移行してしまうことがあります。
長く続く咳があれば、咳喘息に詳しい医師の診断を受けられることをお勧めします。
咳喘息の検査は?
咳喘息では、痰の中の好酸球(アレルギー反応に関与する細胞で白血球の一種)が多くなるとされているため、痰を調べます。さらに血液検査で、ハウスダスト・カビ・ダニなどに対するアレルギー反応を確認します。
咳喘息の治療は?
長引く咳に対し、風邪薬や抗生物質、咳止めを用いても、咳喘息の場合ほとんど効果がありません。
咳喘息の治療には、
①気管支拡張薬(気管支を拡張させて空気の通り道を広げる薬)。
②吸入・経口のステロイド薬を使います。
気管支拡張薬を使って、咳がある程度治まれば、咳喘息と診断し、吸入ステロイド薬を使った治療を開始します。(最近では、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬をひとつの薬として配合した喘息治療薬も出ており、こうした薬が処方されることもあります。)
③抗アレルギー薬を使用することもあります。
④咳喘息の対策として、睡眠中の保湿のために、マスクをして寝ると有効です。
症状が良くなったからといって、すぐに治療を止めてしまうと再発することがあるので、数カ月間は続けることが大切です。
咳喘息はそのまま自然に治ることもありますが、約30%が喘息に移行するといわれています。喘息への移行を食い止めるためにも早い段階で薬を使って、気道の炎症を抑える必要があります。特に吸入ステロイド薬の使用は「咳症状の治療」とともに「喘息への移行を予防する」効果が期待できます。
咳喘息を知らないドクターもいるので、風邪が治ったはずなのに咳が出続けるという人は、呼吸器専門医にみてもらってください。
喘息の見落としを防ぐため~ピークフロー(注1)を定期的に測定する
持続性の咳を訴えて来院する咳喘息と思われる人の中には、詳しく問診すると咳以外の呼吸器症状があり、すでに喘息になってしまっている人もいます。そのため咳以外の呼吸器症状を確認したら、必ず、呼吸機能検査やピークフロー測定を行い、喘息の見落としを防ぐことが重要です。
(注1)ピークフロー検査
十分息を吸い込んで、思い切り速く吐き出した時の最大の息の速さ(ピークフロー)を計る検査で気道の詰まり具合を評価します。