最近物忘れがひどくなった、判断力が低下したなどの不安を抱えている方はいませんか?また、家族が見ていて「置き忘れや紛失が頻繁にある」、「もの忘れの自覚がない」、「不安が強く、一日に何度も電話してくる」、「自分で片付けたのに『盗られた』と主張する」などの症状はありませんか。このような症状がみられたら認知症の疑いがあります。
様子がいつもと違うと気づいたりできるのは、家族などその人と暮らしている身近な人たちです。認知症と似た症状があらわれる別の病気を発症している可能性もありますが、身近な人による早期発見は、早期治療に結びつき、その結果、病気の進行を緩やかにすることもできます。
★老化による物忘れと認知症による物忘れは違います。
年を取ると認知症でなくとも物忘れが多くなります。「名前が出てこない」「何しにココに来たんだっけ」などと。これは、脳の老化の1つで自然の事です。物忘れしている事に気づいていますし、生活上支障は全くありません。大枠で、老化による物忘れと認知症による物忘れを比較すると、下表の通りです。
★認知症ではないか?と思った時には
様子がいつもと違うと気づいたら、かかりつけ医に相談してください。しかし、認知症なのか否かを見極めるのは容易ではありません。そこで、かかりつけ医を介して認知症の専門医がいる「認知症疾患医療センター」(注1)に連絡を取ってください。認知症は、約2年で軽度から中等度へ進行するという報告もあります。「認知症かもしれない。でもまさか」というくらいでも、相談することをおすすめします。
★「認知症疾患医療センター」を介した
診断の流れ
1.「認知症疾患医療センター」に電話する。
最近物忘れが多くなった。怒りっぽくなった。身の回りのことができなくなった。もしかして認知症のはじまりかもしれないなどの不安や悩みをおもちの方は認知症の鑑別を依頼するため電話します。
2.電話または通院による専門医療相談の申し込み
3.専門医の診療と検査予約
4.鑑別診断の結果および治療方針の説明
診療情報提供書・鑑別診断問診票・検査等の総合診断の結果から、認知症の状態等について説明し、診断結果についてかかりつけ医への診療情報提供書が渡されます。
★うまい受診のきっかけをつくって
認知症は急に症状が悪化するわけではなく、数年をかけてゆっくりと進行するのが特徴です。
① 第1段階では物忘れが激しくなります。そのことで不安になり、イライラすることもあるでしょう。また、物事に無関心になったり、うつ状態に陥ったりすることもあります。
② 第2段階は日付や場所、人に対する見当識障害がみられるようになります。この頃になると道に迷ったり、今までできていたことができなくなったりして、日常生活に支障をきたすようになります。
③ 第3段階になると食事や排泄の手順がわからなくなり、体も弱って動きが鈍くなるでしょう。
こうしたゆっくりした進行段階において、本人が病院に行きたがらないとか、病院へ連れて行きたくても、何と言えばいいのかわからない、また、本人が受診を拒むケースもあるでしょう。嘘をついたり、無理やり病院へ連れて行ったりすると、その後の治療も困難になります。長い間お世話になっているかかりつけ医から専門医を受診するよう話してもらうのも1つでしょう。
★本人告知は慎重に
認知症であることを告知するかどうかは、難しい問題です。告知することで本人の協力のもとで希望に沿った治療やケアを行うことができます。しかし、一方では本人がショックを受け、不安が増大したり、将来を悲観したりもしかねません。特に、若年性認知症の場合には仕事や家族などあらゆる問題を抱えることになるので、より慎重な判断を要します。担当医とも密に連携をとり、その後のケアにも重点を置く必要があります。
「薬物乱用頭痛」は頭痛薬の誤った使い方が原因で起こる病気です。大事にならないうちに専門医に相談しましょう。
注1
認知症疾患医療センター
地域の医療機関と連携をとり、認知症疾患に関する鑑別診断・治療方針の選定、専門医療相談、医療関係者へのアドバイスを行います。各府県が指定する専門医のいる医療機関、大阪府では、府内6ヵ所、大阪市内3ヵ所、堺市内2ヵ所の医療機関が指定されています。