子宮頸癌はどんな病気?
子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因で引き起こされます。HPVに感染しても多くの場合2年以内に自然消失しますが、約10%の人では感染が長期化(持続感染化)します。HPVが持続感染化すると子宮頸部の細胞に異常(異形成)を生じ、10年以上後で、一部(感染者の1%以下)が異形成から子宮頸癌に進行します。
子宮頸癌は「予防できる」癌です
子宮頸癌は、癌になる前の病変(前癌状態)が発見可能なため予防可能な癌です。早期からの定期的な癌検診により、早い段階で発見・治療できるため癌の発症を未然に防ぐことができます。
①20代からの定期的な検診を受ける
他の癌と比べ発症する年代が若く20代で発症するケースもあります。また、HPVに感染してから異形成(前癌病変)を経て、子宮頸癌を発症するまで、平均十数年以上かかるため、癌は細胞診とHPV検査の併用による検診でほぼ確実に発見することができます。(HPV検査は子宮頸癌の原因である高リスク型 HPV感染の有無を判定する検査です。細胞診と同様に子宮頸部から採取した細胞を用い、HPV 感染を判定します。)
②子宮頸癌予防ワクチンを受ける。
子宮頸癌を予防するワクチンが接種できます
子宮頸癌予防ワクチンは、発癌性HPVの中でも特に子宮頸癌の原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を防ぐワクチンで、海外ではすでに100ヵ国以上で使用されています。日本では2009年10月に承認され、2009年12月22日より一般の医療機関で接種することができるようになりました。
現在、接種できるのは、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」です。このワクチンは、1~2回の接種では十分な抗体ができないため、半年の間に3回の接種が必要です。
ワクチンの効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要かどうかについては、まだはっきりとわかっていません。今のところ、ワクチンを3回きちんと接種した人では、最長で6.4年間は、HPVの感染を防ぐのに十分な量の抗体ができていることがわかっています。10歳以上の女性なら誰でも接種できますが、5万円前後の費用がかかります。そのため医療関係者らを中心に、特にワクチンの効果が高いとされる中学生相当を対象とした公費助成を求める声が高まり今年度、全国で32市区町村がワクチン接種の公費助成を決めています。
ワクチン接種後も、年1回の検診を受けましょう
子宮頸癌予防ワクチンを接種することでHPV16型とHPV18型の感染を防ぐことができますが、全ての発癌性HPVの感染を防ぐことができるわけではありません。ワクチンを接種していても子宮頸癌にかかる可能性はあります。
子宮頸癌を完全に防ぐためには、子宮頸癌ワクチンの接種だけではなく、定期的に子宮頸癌検診を受けて前癌病変のうちに見つけることが大切です。ワクチン接種後も、年に1回は子宮頸癌検診を受けるようにしましょう。