令和元年度の相続税・贈与税の土地等の評価額の算定基準となる「令和2年度路線価」が7月1日に公表されました。新聞等で目を通された方も多いかと思いますが、改めて路線価とはどういったものなのか説明させてもらいます。
1.路線価とは
路線価とはその年の1月1日時点での価格として発表される公示地価を基準に、その80%の水準を目安として、路線に付される価格です。今年度の路線価の調査地点は約32万6,000か所と、国土交通省が公表する公示地価の対象地点(約2万6,000か所)よりはるかに多いです。路線価は、公示地価と異なり直接税額に影響を与えることになるため、より慎重に安全性を考慮して実勢価格よりも低めに設定されています。
2.全国平均は5年連続上昇
評価基準額の地価変動率は、全国平均で対前年比+1.6%(前年+1.3%)と5年連続の上昇となりました。
国土交通省が本年3月19日に公表した令和2年公示地価でも、全国平均で5年連続の上昇、上昇幅でも4年連続の拡大となっており、ここ数年来続く外国人観光客によるインバウンド効果の影響が大きいといえるでしょう。
3.新型コロナウイルスの影響
ただし、これらの数値は令和2年1月1日時点でのものであり、コロナウイルスの影響は考慮されていません。
国税庁の発表資料を見ると、9月の基準地価格公表の状況等をみて、明らかにコロナウイルスの影響があると判断した場合には、補正率公表等の措置を検討するとしています。
現実問題として、コロナの影響により客足の落ちた飲食店等が続々と閉店するような事態になれば、一気に地価が下落してしまうおそれがあります。
今後の地価動向に関しては、7月1日時点で鑑定評価を行う基準地価格の発表(9月中旬)が待たれるところです。