前回は『課税期間の短縮・変更』の基本的な内容について触れましたが、今回は、この『課税期間の短縮・変更』のメリットについて解説していこうと思います。
【消費税の課税期間の短縮・変更についてのおさらい】
①課税期間は納税者の意思によって3カ月ごと、又は1カ月ごとに変更できる。
②短縮・変更をするためには一定の期間に届出書を税務署長に提出しなければならない。
③いったん短縮・変更を選択すると2年間は選択をやめることも、変更することもできない。
前回は以上の3点について解説しました。
では、なぜこの様な手間をかけてまでも課税期間を短縮するのでしょうか。
今回はその点について少し解説していきます。
【課税期間を短縮するメリット】
(1)資金繰りでのメリット
一般的なものとしては、輸出を専門とする業者のように、経常的に消費税が還付されるような業種の法人などは、課税期間を1カ月にすれば毎月消費税の還付を受けることができます。そうすれば資金調達の面で有利になるというメリットがあります。
(2)消費税の還付のメリット
大きな設備投資をする場合に、課税期間を短縮・変更することで消費税の還付を受けることが可能になったり、また還付される金額が多くなったりすることがあります。
ただし、一部の設備投資や『消費税課税事業者選択届出書』と併用等して還付を受けようとするものについては、今年度の税制改正によって一定の調整を行わなければならない場合がありますので注意が必要となってきます。
実行される場合には専門家に相談し綿密なシミュレーションをすることをお勧めします。
(3)各種届出書の適用開始
時期のメリット
消費税の計算において本則課税から簡易課税に早く変更したいとき、または、簡易課税から本則課税に早く変更したいときなど、『消費税課税期間特例選択・変更届出書』の提出により課税期間を短縮・変更することにより適用の開始時期を早めることができるメリットがあります。
〈個人事業者の場合〉
事例)現在(2月時点)は本則課税により計算しているが、3月から簡易課税に変更したいとき。
a(手続1)2月末までに『消費税課税期間特例選択・変更届出書』を提出します。
(手続2)2月末までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出します。
今回は『課税期間の短縮・変更』のメリットについて説明しましたが、短縮をすることにより手間が以前より多くなったり、納付の期間が出てきたりという事がありますので、実行前には十分なシミュレーションを行うよう注意してください。