今回は、固定資産の交換があった場合の譲渡所得の課税の特例について説明します。 交換により生じた譲渡益は、名目的な利益であり担税力がないこと、取引の実質的効果が従来から継続して所有していたことと変わらないことから、交換による資産の移転のうち一定の要件に該当するものについては譲渡がなかったものとして、課税を見送る特例を定めています。
【1】交換の場合の課税の特例に該当するかどうかの判定
固定資産の交換があった場合の譲渡所得の課税の特例に該当するかどうかの判定は、以下の適用要件によって判定します。これらの要件を全て満たしているものに限り特例の適用が認められています。 仮に、これらの要件のうち1つでも満たさなければ、通常の譲渡があったものとして課税されます。
【適用要件】
①同一種類の固定資産を交換すること。
②取得資産と譲渡資産はそれぞれ所有期間が1年以上であること。
③取得資産は相手方において交換のために取得したものではないこと。
④取得資産を譲渡資産の譲渡直前と同一の用途に供すること。
⑤譲渡資産の時価と取得資産の時価との差額が20%以内であること。
【2】取扱い
【1】の要件を満たした交換について、その譲渡資産の時価と取得資産の時価の金額によって、以下の取扱いが定められています。
※課税は見送られていますが、所得税の確定申告は必要となります。
今回は、固定資産の交換があった場合の課税の特例について説明しました。
次回は特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例について説明します。