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動画の無断投稿

質問

昼休みに公園のベンチで一人、お弁当を食べていたところ、知らない男性がやってきて、突然ジャケットを脱ぎタンクトップ姿で「パワー」と大声で叫びました。びっくりして慌ててその場を去りましたが、後日、知人からの連絡で、上記の人物が私の驚いている様子(動画)をSNSに投稿していることがわかりました。再生数も多く気味が悪いです。どう対応すれば良いでしょうか。

回答

人は、みだりに自己の容貌等を撮影されない人格的利益、自己の容貌等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益を有します。但し、人の容貌等の撮影が正当な取材行為等として許容されるべき場合もあるので、ある人の容貌等をその承諾なく撮影することが違法か否かは、被撮影者の社会的地位や活動内容、撮影場所、撮影目的、撮影態様、撮影の必要性等を総合的に考慮して、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上受任限度を超えるか否かで判断することになります。受任限度を超えて違法に撮影された写真は、その公表も、被撮影者の人格的利益を侵害する違法なものとなります(最判平成17年11月10日)。動画についても同様と解されます。
 本件は、特段の事情がない限り、撮影の必要性があるとは考え難く、撮影目的も撮影態様も適切穏当とは言い難いものがあります。掲載動画の状況(被撮影者が相談者であることが特定できるか否か等)によっては相談者の人格的利益が社会生活上受任限度を超えて侵害される違法な撮影・公表(掲載)ともなりうると考えられます。
 では、この動画を削除させることはできるでしょうか。
 まず、プロバイダ等への削除依頼(サイト内のフォームを利用する方法、書面送付による方法)を行なうことができます。法務局に相談すれば、法務局が当該投稿に違法性ありと判断した場合にはプロバイダ等に削除要請をしてくれることもあるようです。但し、これらはあくまでも任意の削除を求めるものであり、強制力はありません。
 プロバイダ等が任意に削除に応じない場合には、裁判所に削除を求める仮処分申立てをする方法があります。裁判所が削除の仮処分決定をすれば、その後の訴訟でも削除を命じる判決となる可能性が高いので、仮処分の段階で削除に応じるプロバイダ等が多いですが、仮処分決定後も削除しない場合は訴訟提起をすることになります。
 さらに投稿者(発信者)に損害賠償請求等を行なう場合には投稿者の特定を要します。プロバイダが任意に発信者情報(住所、氏名等)を開示することは、まずありませんので、プロバイダ等に発信者情報開示の仮処分申立てを行ないます。仮処分決定がなされれば、プロバイダが開示に応じることが多いのは削除と同様です。発信者情報が開示されて、損害賠償の請求先が特定することになります。

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