腸に異常が認められないにもかかわらず、慢性的に下痢や便秘、腹痛などの症状が数ヵ月続き、日常生活に支障をきたす場合もあります。比較的20~30代の若い世代に多く見られる傾向がありますが、年齢を問わず発症する病気です
☆IBSの薬物療法と生活習慣の改善
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や不快感を伴う腸の機能障害です。その治療法は、個々の症状やライフスタイルに合った治療法がありますが、大きく分けて薬物療法と生活習慣の改善と言えます。中でも生活習慣を改善することで症状を緩和できます。
⑴生活習慣の改善が非常に重要です。
食事では、脂肪や刺激物、アルコールを控え、繊維質を多く摂取することが推奨されます。また、食事の記録をつけることで、どの食材が自分の症状を悪化させるかを把握しやすくなります。
⑵適度な運動やストレス管理も症状の改善に寄与します。ヨガや瞑想などもリラックス効果があり、腸の健康を促進します。
最終的には、個々の症状に応じた治療法を見つけることが大切で、医師と相談しながら、自分自身に合った対策を見つけることをお勧めします。
☆過敏性腸症候群の薬物療法
薬物療法は、腸の動きを調整する薬や、症状を和らげるために鎮痛剤が処方されます。処方される薬は、腸の動きを調節する蠕動運動改善薬、整腸剤および便の形を整える薬剤などです。
①蠕動運動改善薬は、その名の通り腸の蠕動運動を調節しますので、下痢で腸の動きが活発な場合は抑える方向に、便秘で腸の動きが低下している場合は動かす方向に作用します。
②ビフィズス菌や乳酸菌を含む整腸剤は、腸内環境を整えてくれます。整腸剤の持続的な内服により善玉菌を増やすことでお腹の環境を改善します。
③便の形を整える薬剤は、薬剤そのものが腸の中で水分を吸収、膨潤することでゲル状に変化し、腸内の蠕動運動をスムーズにして内容物の排泄をサポートしたり、水分過多となった下痢を抑えたり、腸内環境の不調をコントロールする薬です。
☆自分の食事について注意すること
食事は過剰に摂らず、ゆっくり時間をかけて摂るべきです。
①腹部膨隆と鼓腸の増強がみられる患者では、豆・キャベツ・発酵性炭水化物を含む食品を減量または除去することが有効です。
②自然食品および加工食品(例、リンゴおよびブドウジュース・バナナ・ナッツ・レーズン)の構成成分である甘味料(例、ソルビトール・マンニトール・フルクトース)の摂取を減らすことで、鼓腸・腹部膨満および下痢が軽減します。
③乳糖不耐症の患者は、牛乳および乳製品の摂取を減らすとよいでしょう。低脂肪食により食後の腹部症状が軽減する可能性があります。高脂肪な食事を控え、食物繊維を適度に摂取することが重要です。
参考までに最新のIBS治療薬一覧
商品名 効用分類
コロネル 過敏性腸症候群の便通
ポリフル 異常(下痢・便秘)および消化器症状
セレキノン 過敏性腸症候群
イリボー 下痢型過敏性腸症候群
リンゼス 便秘型過敏性腸症候群