帯状疱疹を発症してしまった場合、抗ウイルス薬などによる治療を行っても帯状疱疹後神経痛などの後遺症が残り困惑します。
帯状疱疹の合併症と後遺症
帯状疱疹の治療が遅れたり、治療しなかったりした場合、ウイルスは、神経の流れに沿って障害をおよぼすことから、目や耳など感覚器の神経を傷つけ、視力の低下や難聴などを引き起こします。運動神経を傷つけると、腕が上がらなくなるなどの麻痺につながることもあります。これらの症状は後遺症として残ることがあるので、注意が必要です。特に、長い間痛みが続く神経痛は、50歳以上では約2割の患者さんに起こる後遺症です。帯状疱疹後神経痛といいます。
帯状疱疹の治療
帯状疱疹の治療は、早めにウイルスの増殖や痛みを抑えることが何よりも重要です。帯状疱疹の治療には主に原因である帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みを抑える鎮痛薬が処方されます。
痛みが治まらないときは我慢せず、早めに病院を受診し、鎮痛薬の量や種類について相談しましょう。
⑴抗ウイルス薬
帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える薬で、発疹が出てから3日以内に飲みはじめるとよいでしょう。効果が出るまでに2~3日かかることがありますし、症状が治まっても、ウイルスがしっかり抑えられていないこともあるため、処方された薬は最後まで飲むことが大切です。点滴薬が使われることもあります。
⑵帯状疱疹の痛みを抑える薬
夜間眠れないほど強い痛みが続く場合にはペインクリニックで神経ブロック治療を受けることもおこります。また、合併症の帯状疱疹後神経痛に対しては神経障害性疼痛として保険適用のある薬を処方されます。
帯状疱疹の予防接種
帯状疱疹予防ワクチンは日本では、「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類のワクチンが使われています。帯状疱疹の予防接種を受けるときは、接種対象者や、接種する回数・接種にかかる費用などの情報を確認したうえで、ご自身の状況に合うワクチンを選ぶことが大切です。
(但し、予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。)
日本で使用されるワクチン
⑴生ワクチン【乾燥弱毒生ワクチン】
・接種対象者 50歳以上
・接種方法 皮下接種
・接種回数 1回
・接種費用 7,000円~10,000円程度
⑵不活化ワクチン【乾燥組換えワクチン】
・接種対象者 50歳以上の者または18歳以上で帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる者
・接種方法 筋肉内接種
・接種回数 2回
50歳以上の者/通常2ヵ月の間隔をおく
18歳以上で帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる者/通常1~2ヵ月の間隔をおく
・接種費用 40,000円~60,000円程度(2回合計)
*1免疫不全・免疫抑制状態の方や妊娠中の方は生ワクチンの接種を受けられません。
*2予防接種費用の助成を受けられる自治体もあります。(但し、助成の対象となる年齢や助成の内容は各自治体によって異なります。)詳しくはお住まいの市町村窓口にお問い合わせください。