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タワーマンション節税の詳細について

タワーマンション節税
前号では、タワーマンション節税の内容と、訴訟の概要について説明いたしました。
今回は、裁判事例の詳細と注意点についてご説明いたします。

1. 今回の裁判事例

税務署もタワーマンション節税について、土地の相続税評価額を意図的に下げる行為であり、相続税の租税回避行為だとして訴訟を起こしていました。
今回の判決もその一件であり、判決によると原告の相続人は、父が平成21年に合計13億8,700万円で購入したマンション2棟を平成24年に相続しました。
路線価に基づき計算した結果、この2棟を合計3億3,000万円と評価した上で、購入時に借り入れた金額を差し引き、相続税を0円で申告しました。
これに対して税務署はマンションの路線価が実勢価格と大きく乖離していると判断し、通達の例外規定に基づき、不動産価格を合計12億7,300万円と再評価して本税2億4,000万円と過少申告加算税9,000万円を合算した約3億3,000万円を追徴課税しました。国税庁は、相続税の計算に使われる通達で、不動産の価格は毎年7月に公表される『路線価』で算定すると定める一方で、路線価と実勢価格が大きく乖離している場合には、独自に再評価できるとの例外規定を設けています。
今回の判決は、その例外規定に基づく課税処分について、「相続税の課税価格に算入される財産の価額について、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、合理的な理由があると認められるから、当該財産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが上記の平等原則に違反するものではないと解するのが相当である。(令和4年4月19日・最高裁第三小法廷相続税更正処分等取消請求事件(令和2(行ヒ)283)全文より」として有効であると判断しました。

2. 今回の裁判判決を踏まえての今後の注意点

今回の裁判においては、
・マンション購入時の借入理由に『相続税対策』の文言が記載されていた
・相続税の申告書提出前に1棟マンションを売却していた
なども判決に影響していると考えられますので、全てのタワーマンション購入者に同じような判定が下されるわけではありません。
今回の判決のように、時価等を用いて評価することはあくまでも例外的であり、基本的には原則通り路線価で評価することは今後も変わらないでしょう。
但し、今回のケースのように路線価による相続税評価額と実勢価格の乖離が大きい場合には、どの程度乖離があるのか事前に検証している方が安全なのかもしれません。

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