弛緩性便秘は、大腸のぜん動運動(内容物を運ぶ動き)が低下することにより、大腸内で便の通過時間が長くなり、水分吸収が増え、便が固くなって引き起こされます。弛緩性便秘の便は「硬い」「太い」「コロコロ」が特徴です。
☆便秘解消に役立つ食材
⒈食物繊維
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。
⑴水溶性食物繊維
水に溶けるタイプの食物繊維で腸内の善玉菌を増やす効果があり、お腹の中でゲル状の柔らかい便を作る働きがあります。便が固くなりがちな方は「水溶性」の食物繊維を摂るようにしましょう。りんごやみかんなどの果物、人参やトマトといった野菜類には「ペクチン」という水溶性食物繊維が豊富に含まれます。また寒天や海藻類には「アルギン酸」という水溶性食物繊維が多く含まれるため、おすすめです。
⑵不溶性食物繊維
水に溶けないタイプの食物繊維で、腸内で水分を吸収してふくらみ、便のカサを増やして、腸のぜん動運動を活発化させ、便通を促進します。大豆やイモ類、ごぼうなどの根菜類や、きのこ類など、繊維質の食材に多く含まれるのが特徴です。腸のぜん動運動が弱いために起こる弛緩性便秘に当てはまる方は「不溶性」の食物繊維を多く摂ると良いでしょう。
⒉発酵食品
⑴植物性乳酸菌
発酵食品に含まれる乳酸菌には、腸内を弱酸性にすることで、悪玉菌(有害な腸内細菌)の増殖を抑え、善玉菌を増やす効果があります。ぬか漬けやキムチ、味噌などは代表です。
⑵動物性乳酸菌の主な食材
ヨーグルト、チーズなどがあります。特にビフィズス菌を含むタイプのヨーグルトは、高い整腸作用が期待できるのでおすすめです。
⒊オリゴ糖
オリゴ糖は、腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす作用があります。ミネラルの吸収を高め、腸内環境を整え、便秘の改善を促してくれます。玉ネギ、アスパラガス、にんにくなどの野菜類や、はちみつなどに多く含まれるほか、味噌や醤油などの発酵食品にも含まれています。
⒋便秘に効く飲み物(おすすめ)
⑴ココア
ココアにはリグニンという不溶性食物繊維が含まれ、腸内環境の改善が期待できます。また、ココアには100gあたりに5・6gもの水溶性食物繊維も含まれるため、さらなる便秘解消効果が期待できます。しかし、カロリーも高いため、
1日に飲む量はコップ1〜2杯程度までにしてください。
⑵酢ドリンク
お酢には新陳代謝を高める効果があり、それによって腸のぜん動運動を活発にし、腸内環境を整える効果があります。便通効果を促進するには、朝食後に飲むのがおすすめです。
☆弛緩性便秘に対する食生活改善
の基本
①朝食を抜かずにしっかりと摂るようにします。
②たとえ便意がなくても朝食後など決まった時間での排便を、毎日続けて習慣化させましょう。
③水分をしっかり摂りましょう。
冷たい水や牛乳は胃や大腸を刺激して排便を促します。特に朝起きたらすぐに飲むようにします。
④食事量も大切です。
高齢者などは特に、食事量が少なくなると便の量も減り、便秘になりやすくなります。
⑤オリーブオイルには、ぜん動運動を促進し潤滑油の役割を果たします。便の通りも良くなるでしょう。朝に、サラダや副菜などに大さじ1杯程度をかけて摂取するのがおすすめです。
今回は、便秘でお悩みの皆さんに、日常の食生活の留意点について述べました。日々続けていくことが大切です。