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親子法制等に関する民法等改正

質問.

 前々回の法律相談の回答の最後にあった親子法制等に関する民法改正について、特に嫡出推定・再婚禁止期間の撤廃や嫡出否認制度の見直しの点等を教えてください。

回答.

昨年12月10日、親子法制の改正法が成立し同月16日に公布されました。公布と同時に施行された親権者の子に対する懲戒権の規定の削除を除き、来年6月までには施行される見込みです。改正法の概要は以下のとおりです。
 まず、嫡出推定規定に例外が設けられました。改正法は、現行法の離婚等から300日以内に生まれた子は前夫の子と推定するという原則は維持しつつ、離婚等から300日以内の出生までの間に母が前夫以外の男性と再婚した場合は、その子は再婚後の夫の子と推定するという例外を設けました。この例外を設けたことにより、前婚と再婚の父性推定の重複がなくなるため、現行法の女性の再婚禁止期間(原則として離婚等から100日)が廃止されました。これら改正により、前夫の子との推定を避けるために離婚等から300日以内に生まれた子の出生届が提出されず、無戸籍となる事態が減少する見込みです。
 次に、嫡出否認制度の見直しがなされました。現行法では父のみが、子の出生を知ったときから1年以内に嫡出否認の訴えを提起することにより嫡出を否認することができますが、改正法は、子、母、そして再婚後の夫の子と推定される子については前夫にも否認権を認めました。そして嫡出否認の訴えの出訴期間を3年間に伸長し、さらに子は一定の要件を満たす場合には例外的に21歳に達するまで嫡出否認の訴えを提起することができるようにしました。
 また、嫡出否認権者を拡大したことに伴い、妻が夫の同意のもと第三者の提供精子を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子、妻いずれも嫡出否認をすることができないとされました。
 嫡出推定制度の改正後の規定は、原則として施行日以降に出生する子に適用されますが、法務省によりますと、施行前に出生した無戸籍の子とその母は、改正法の施行の日から1年間に限り、嫡出否認の訴えを提起して血縁上の父ではない者が子の父と推定されている状態を解消することが可能とのことです。
 さらに、認知無効の訴えの規律が見直されました。現行法では利害関係を有する者は、いつでも認知無効の訴えを提起することが可能でしたが、改正法は、子の地位を安定させるため、認知無効の訴えの提訴権者を子、認知をした者(父)、子の母に限定し、出訴期間も所定の起算点から7年以内とし、ただ、子については一定の要件を満たす場合には、例外的に21歳に達するまでは認知の無効の訴えを提起することができることにしました。

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