風疹は、風疹ウイルスに感染して起こる感染症です。感染した人が咳やくしゃみをして、ウイルスを含む飛沫が飛び散り、それを他の人が鼻や口から吸い込んで感染します(飛沫感染です)。多くの場合、ウイルス感染から14~21日間ほどの潜伏期間をへて発症します。今回、スペースがなく詳しく説明できませんが、症状は3~5日間ほどで治まることが多く、まれに重症化することもありますが、一般に“三日はしか”と呼ばれることもあります。
風疹は、子供が罹る病気と思われがちですが、最近、大人の感染者が増加していることが注目されています。
①男性の場合
かつての集団感染者の多くが当時20~40歳代の男性で、これらの多くが風疹に対する免疫をもっていなかったことがわかっています。風疹の集団ワクチン接種は女子中学生だけを対象に行い、男子のほとんどが予防接種を受けていません。昭和54年4月より男女共に予防接種が開始されました。現在30~40歳代の男性でワクチン接種もなく、また風疹に罹ったことのない人は、風疹に対する免疫をもっておらず、風疹に感染しやすい状態でした。
②女性の場合
女性でも幼少時のワクチン接種を1回しか受けていなくて、抗体価が年齢と共に低下し免疫が不十分な人もおられます。妊娠している女性は、予防接種を受けられません。妊娠していない時期に予防接種を受け、接種後2ヵ月間は避妊することが必要です。また、妊娠中に抗体検査で、風疹に対する抗体がないことがわかった場合は、妊娠初期に風疹に罹らないよう、十分な注意が必要です。出産後予防接種を受けておきましょう。
◆今後の風疹対策◆
☆予防接種を受ける
風疹の流行を防ぎ、先天性風疹症候群を防ぐためにも、予防接種をきちんと受けることが大切です。予防接種には、法律に基づいて市区町村が実施する定期接種と、希望者各自が医療機関で受ける任意接種があります。定期接種は公費(一部自己負担がある場合もある)ですが、任意接種は自己負担となります。
①成人の場合
成人は、任意接種となります。男女を問わず、予防接種を受けていない人や、風疹に罹った覚えのない人は、医療機関に問い合わせ、予防接種を受けることが望まれます。特に現在30~50歳代の男性は、免疫をもっていない割合が高く、しかも家庭や職場で女性と接触する機会が多いため、妊婦さんに感染させないためにも、積極的に予防接種を受けることが勧められます。
②子供の場合
子供の場合は、定期接種として、麻疹と風疹のワクチンを混合した「MRワクチン」の皮下注射が行われます。2回接種が基本で、1回目(1期)は1歳時に、2回目(2期)は就学前の1年間に受けます。2回接種の制度になる前の子供達は、3期として中学1年生時に、4期として高校3年生相当年齢時に予防接種の機会がありますが、3期、4期に関しては2013年3月に公的負担が終了し、今後の接種は自己負担になるので、注意してください。
◆現在行われている風疹の追加的対策◆
昭和 37 年4月2日から昭和 54 年4月1日までの間に生まれた男性については、これまでに予防接種法に基づく定期接種を受ける機会がなく、抗体保有率が他の世代に比べて低いため、今般の風疹の追加的対策として、2022 年3月末までの間に限り、風疹抗体検査・予防接種を公費で受けられるようにし、この世代の抗体保有率を90%以上にすることをめざしています。ちなみに、今回の対象世代の男性と同じ世代の女性は、中学生の時に風疹の予防接種を受ける機会があったため、抗体保有率は96・7%となっています。
風疹に妊婦さんが罹ると死産や流産、また赤ちゃんに様々な障がいをもたらす可能性があります。周りの人々も含め風疹に罹らないよう留意しましょう。
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