今、各種電子タバコ(加熱式など吸引形態は様々なものがある)が発売されています。ある電子タバコの吸引体験者の報告をみますと、 ①タバコの葉本来の味わいを得ることができる。 ②煙がほとんど出ない。 ③タバコの嫌なニオイがなく、周りの人に不快な思いにさせにくく、服や髪にニオイがつきにくい。 ④使用後のフィルターを見ると、従来のタバコと違い、真っ白なまま。火で燃やしていないため、火事の原因にならない。 ⑤タールを9割以上カットしているため肺胞に悪影響を与えない。 などと報告されています。また、あるメーカーによると、タール値の測定方法が確立されておらず法令上の表示義務もないため、従来のタバコのように数値を公表できないとのことです。一方、ニコチンについては、カットできないため間違いなく成分として含まれており、普通のタバコと同様にニコチン依存は改善されない、とみられます。 ☆タバコに含まれる有害物質、ニコチンとタールの影響 よくタバコは体に悪いと言われますが、タバコの有害物質と言えばタールとニコチンです。 【タール】 吸われている方はよく分かりますが、タバコを吸った時にフィルターに付いている茶色いものがタールです。タールは2000種類以上の薬物の集合体であり、その中に発がん性物質が含まれています。吸っても血液中にほとんど吸収されることのない成分ですが、細胞に付着する性質があり、癌を引き起こす原因になります。タールは発癌物質が多く、肺癌を始めとして数々の癌の原因になります。肺に溜まって大食細胞が処理した後に悪影響が出ます。黒い肺の原因になります。 【ニコチン】 全身の神経系に作用して血圧上昇、貧血、ストレス上昇、下痢などを起こします。血圧上昇に伴い血管系に悪影響を与えます。神経毒が非常に強く、吸うことで脳に快楽をもたらしますが、これが繰り返されると成分が体内から無くなったときに集中力が途切れ、イライラを引き起こし、依存性が強くなります。厄介なのは、この精神的な依存が非常に強いことです。俗にいうニコチン中毒の状態です。ニコチン自体が猛毒なのです。 ニコチンは即効性の毒、タールは遅行性の毒です。約40年前に精神科医が「ニコチンを求めてタバコを吸い、タールによって死亡する」という見解を発表しています。まさに体に害を及ぼすのは、喫煙と言うわけです。 タバコがやめられない理由は「ニコチン」 喫煙を繰り返すとニコチン依存症という精神疾患になり、自らの意思で禁煙ができない状態になります。「意志が弱いから禁煙ができない」などと言われますが、ニコチン依存症は病気なので、意志だけでは解決しづらいようです。ニコチン依存症になるとタバコは「誘惑」でもあり「欲求」でもあります。お腹が減ったらご飯を食べたくなるのと同じで、ニコチンを欲してしまう体になっているのです。依存症になると意志だけで禁煙することは、難しいようです。 ☆電子タバコの健康被害の有無を考える 電子タバコの中には、普通のタバコの9割がたタールを削減できた、と言ってますが、まだ研究段階じゃないでしょうか?ある企業でも数年のテストを実施している最中のようです。ですから、電子タバコを全体的にみて、現時点では医学的効果は「不明」と言うことではないでしょうか。 今回、禁煙指導の流れで一部の電子タバコを検証しましたが、タールを減量できるだけで、ニコチン依存は改善できず、禁煙には全く繋がらない印象をもちました。 |
PDF