難聴は、老眼と同様40才頃からはじまり、年をとれば誰でも起こります。老眼に対するメガネのように、補聴器は聴力を補うためのものです。
◆難聴による影響はさまざま
補聴器に抵抗を感じる人もいますが、聞こえの悪い状態では生活の質が低下します。例えば、スムーズな会話ができなくなるので、家庭や社会で孤立しやすくなります。また、外出先では、自動車の音に気付きにくくなるなど、危険にさらされやすくなります。また、耳から入る情報が非常に少なくなるので、脳の活動が低下することもあります。
◆耳の聞こえと補聴器が必要な場合
聞こえの衰えは、気付かないうちに始まっています。自分の聞こえを知ることが、正しい補聴器選びの第一歩です。音の大きさを表す単位をデシベル(dB)といいます。聴き取れる音のデシベル値を目安に難聴の程度を判定します。(図1)
一般的には、聞こえる音の大きさが40~45 dB程度から補聴器が必要になります。軽度難聴の範囲内ですが、その中では聞こえが悪いほうに該当し、会話などに支障を来すことがあるためです。
補聴器の使用を考える目安は、日常生活の中にもあります。女性アナウンサーの話が聞き取りにくいことがありますが、これは「加齢性難聴」が原因と考えられます。「加齢性難聴の多くは、高音節の聴力から低下してきます。一般的に、女性は声が高く、アナウンサーは一般の人より話す速度が速いので、女性アナウンサーの声が聞き取りにくくなるのです。
◆補聴器を購入する際には
(1)耳鼻咽喉科を受診
補聴器を使う場合は、まず耳鼻咽喉科を受診して難聴の程度を確認します。
日本耳鼻咽喉科学会が認定する耳鼻咽喉科専門医や補聴器相談医を受診し、補聴器が必要と診断されれば、「診療情報提供書」が作成されます。この「診療情報提供書」を補聴器専門店に持参することで、補聴器選びが進めやすくなります。
(2)認定補聴器技能者のいる専門店で試用して購入するのがよい
補聴器を購入する場合、認定補聴器技能者のいる補聴器専門店であれば、購入前に試すことができるでしょう。補聴器を数週間程度試用し、その間に微調整を繰り返して自分に合うかどうかを確認し、十分納得したうえで購入できます。
認定補聴器技能者には、購人後のケアも義務付けられていますから、購人後も不安があったり、補聴器の調子が悪くなったりした場合には相談しましょう。購人後の点検や微調整も可能で、それらの情報は補聴器相談医にも伝えられます。
(3)補聴器に使われる電池について
補聴器の電源は単3、単4の電池(ポケット型用)や、ボタン状の空気亜鉛電池(耳あな型、耳かけ型用)です。空気亜鉛電池の寿命は、補聴器の機種や使用状況によって変わりますが、一般的には数日から2週間程度のことが多いようです。 予想以上に負担になります。空気亜鉛電池は、未使用時のシールをはがすことで、空気中の酸素と電池の中の亜鉛が少しずつ反応して電気をつくります。安定的に電気を供給できる半面、シールをはがしてしまうと使わなくてもゆっくりと放電してしまいます。また、電池内部のアルカリ水溶液が蒸発すると十分な効果が発揮できないので、補聴器を乾燥ケースで保管する時は電池を外しておくことが大切です。
◆補聴器の購入時の医療費控除や保険適用は?
1 基本的には、補聴器は医療費控除の対象にはなりません。詳細は住所地の税務署に照会することをお勧めします。