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今、注目される『家族性乳がん』の遺伝子検査とは?

先日、テレビで乳がんの遺伝子検査についての番組を見て、来院された方がいます。『自分も遺伝子を調べてもらえば、将来乳がんになるかどうか解るのでは?』とおっしゃいます。しかし、今のところ誰でも検査を受けられる訳ではないことを説明しました。
 テレビで特集された乳がんは親子孫、兄弟姉妹などの血縁者内で発生する『家族性乳がん』と呼ばれるがんです。乳がん患者の遺伝子検査によってBRCA1、BRCA2という遺伝子の変異が確認されています。
 この検査は米国で延べ約100万人が受け、遺伝子に変異がある人は、将来、5~8割が乳がんに、1~3割が卵巣がんになるとされています。最近日本国内でも、この遺伝子検査が受けられるようになりました。

■ 『家族性乳がん』の遺伝子検査
 (BRCA1/2遺伝子検査)
 『家族性乳がん』の発症に関与しているBRCA1、BRCA2遺伝子に病的変異があるかどうかを調べる検査で、BRCA1/2遺伝子検査と呼ばれます。
 但し、乳がんが多く見られる家系であっても、乳がんを発症した方に必ずしもBRCA1、BRCA2遺伝子の変異が見つかる訳ではありません。最近報告された日本人(遺伝性乳がんを疑われた方)を対象にした研究結果によると、BRCA1、BRCA2遺伝子の変異が検出されたのは、約27%(36/135症例)で、他の国々での報告と同程度以上でした。

■BRCA1/2遺伝子検査を
 受けることができる方とは?
1)発端者、つまり乳がんを発症したことのある方
2)乳がんを発症した方の親子孫、兄弟姉妹などの血縁者
 発端者向け検査で変異が検出された場合に、その血縁者に同じ変異があるかどうかを調べます。但し、自分や血縁者の乳がんに遺伝要因が関係している可能性が高いとしても、遺伝子検査を受けるか受けないかを決めるのは、検査を受ける方ご自身です。医師や遺伝カウンセラーは、決めるまでの過程で様々な支援を行いますが、遺伝子検査を受けるよう強要することは絶対しません。
3)その他
乳がんと診断されていなくても、BRCA1/2遺伝子検査を受けたい場合、遺伝カウンセリングを受け、相談することができます。遺伝カウンセリングの結果、相談者の血縁者に乳がん患者があり、遺伝性乳がんの可能性があると思われる場合には、遺伝子検査の対象になります。この際、血縁者の中で既に乳がんや卵巣がんを発症した方が、先にBRCA1/2 遺伝子検査(発端者向け検査)を受ける対象となります。これは、血縁者の乳がんや卵巣がんの発症が、BRCA1、BRCA2遺伝子の変異によるものであるかどうか、を確認する必要があるためです。発端者の血縁者に遺伝性乳がんの可能性が無い場合、検査は受けられません。

■検査は採血によって行います
 BRCA1/2遺伝子検査は、一般的な採血によって行われます。血液に含まれる細胞(白血球)からDNAを取り出し、BRCA1、BRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べます。日本では、米国Myriad社と同検査について契約をした(株)ファルコバイオシステムズが、遺伝子検査を行います。受けた検査の種類によって異なりますが、1~4週間後に結果が分かります。

■検査結果と発症の予防
 担当医師または遺伝カウンセラーから報告されます。結果についは秘密保持されます。
 検査結果が陽性の場合、次の予防方法が選択肢としてあげられます。
・毎月のセルフチェックを18歳~21歳位からはじめる。
・年1度または6ヵ月ごとのマンモグラフィー受診を25歳~35歳位からはじめる。
・年1度のマンモグラフィーとMRI検査を25歳~35歳位からはじめる。
・乳房を全摘し乳がんのリスクを減らす。
・その他

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