すっかり朝晩は涼しくなりました。今年は10月初めよりインフルエンザの予防接種が始まっています。今年の冬は特に寒くなるとの予報もあり、「かぜの季節」が始まります。マスクをうまく使いましょう。
かぜのウイルスは、冷たくて乾燥した空気を好みます。冷たい空気で鼻の毛細静脈血管が収縮し、うっ血が起こります。鼻粘膜の浮腫が強くなることで鼻粘膜の生体防御機能がこわされ、ウイルスが侵入します。鼻粘膜の浮腫で鼻づまりが強くなり、息がしにくくなると口で呼吸するようになり、咽頭粘膜が乾きます。乾くと粘膜の生体防御機能がさらに低下します。そして、ウイルスがさらに侵入します。
かぜ対策
(1)
ライフスタイルの修正
風邪をひきやすいというのは、ライフスタイルに問題があるともいえます。人間はもともとバイ菌と闘う免疫力をもっています。ところが不規則な生活やストレス、栄養の偏りなどにより抵抗力が弱まってくると、風邪をひきやすくなるのです。
(2)
ウイルス対策
空気が乾燥すると、喉の粘膜も乾燥しがちになってウイルスが、体の中に入りやすくなります。
ウイルスに対する対策が必要です。
・部屋を適度に温め、加湿器ややかんなどで湿度を保つ。
・外から帰ってきたら手を洗い、うがいをする。
・寒い日の外出はマスクをして、のどや鼻の粘膜を守る。
マスクはウイルスの侵入をブロックする効果はありませんが、保湿と保温により喉と気管を守り、ウイルス感染を防ぐ効果があります。
マスクの効用
さて、冬季になり空気が乾燥してきますと、咽頭痛(のどの痛み)と咳に悩まされます。暖房の強い旅館に泊まった翌朝、唾を飲み込むとのどが痛かったという経験がありませんか?。咽頭粘膜の乾燥と炎症のためです。明らかに部屋の乾燥が原因です。
一度マスクをして寝るようにしてください。咳や咽頭痛が軽くなることがわかります。マスクをすると、自分の吐いた息を再吸入します。呼気の中にはかなりの水蒸気が含まれていますので、再吸入することでのどや気管粘膜への加湿効果がでるためです。寝ている間に口で息をしていても、マスクをすることで、咽頭粘膜の乾燥を抑えることができます。
当院の外来は循環器科及び呼吸器科ですので、咳がなかなか止まらないと、来院される患者さんが多いのですが、マスクの効用を説明して指導し、実行してもらうことで良好な治療効果を挙げ好評です。
インターネットで検索すると、次のような「ぬれマスク」の効用を説いておられる発表があります。
「ぬれマスク」は、
(1)
マスクを水で濡(ぬ)らして軽く絞る、
(2)
マスクの上部1/3を外側へ折り返し、鼻を覆(おお)わずに装着するという簡単なものです。こうすると寝ている間も鼻を覆わないので、息苦しくない。
(3)
マスクの素材は綿100%がベスト。吸湿性、親水性が高く、アレルギー源にもならない。
私自身は「ぬれマスク」でなくてもいいのではという印象です。いずれにしても、マスクで咽頭から気管を加湿することは、風邪の予防や治療にかなり効果があると思います。
マスク選びのポイント
今回のマスク着用の目的は、咽頭から気管までを加湿することにあります。
①花粉や飛沫を強く遮断する程のマスクはいらない。
②着用して息苦しくない。
遮断力を高めようと何枚も重ねたものは息苦しい。
③使い捨てにする。
何日も同じものを着用すると不衛生。使い捨てにできる値段のもので充分です。
結局、安くても息苦しくなく使いやすいものがよいでしょう。