「骨粗鬆症は女性の病気」と考えている人が非常に多い。しかし、今、男性の骨粗鬆症も多く、65歳以上の男性の大腿骨頚部骨折の約80%が骨粗鬆症に起因しています。また大腿骨頚部骨折から1年後における寝たきり男性の死亡率は、女性のそれのほぼ2倍です。
男性ホルモンの骨への作用
骨粗鬆症は今まで女性に限られ、閉経後の女性ホルモン減少が原因と思われていました。しかし、最近マウス実験の結果、男性ホルモンも骨の維持に欠かせないという次の様な報告がありました。
「男性ホルモンが働かない雄は、働いている通常の雄に比べて骨の量が少なくなった。また、雄の体内で男性ホルモンの一部が女性ホルモンに変化して、骨に働きかけている。さらに、男性ホルモンそのものも、骨の維持にかかわっている。雄マウスでは男性ホルモンと女性ホルモンの両方で骨量を維持するのに対し、雌マウスでは主として女性ホルモンだけで骨量が維持されている。男性は閉経後の女性より遅い70歳前後からホルモンが減ってくる。このまま寿命が80代を超えていくと、男性の骨粗鬆症が増えてくる。」
1、男性の骨粗鬆症の原因は?
男性の骨粗鬆症の原因は不明ですが、以下の病歴を持つ男性に発症リスクが高い。
★遺伝学的特徴…ある男性の母親または父親が骨粗鬆症であった場合、その男性が骨粗鬆症に罹る可能性は、両親に骨粗鬆症の病歴が無い男性のそれと比較して大幅に高くなる。
★腎臓結石…腎臓結石を持つ男性は骨粗鬆症のリスクが高い。
★下垂体または男性ホルモン産生に問題のある男性は、骨粗鬆症のリスクが高い。
★喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、クローン病、関節リウマチなどでステロイドホルモンを使用する治療を受けた男性は、骨粗鬆症のリスクが高い。
★アルコールの飲み過ぎや喫煙、栄養不足、運動不足なども原因になります。
2、骨を強くするために
骨を強くするためにはカルシウムを積極的に摂取するとともに、骨からカルシウムが流れ出る要因を少なくすることが大事です。
①マグネシウムを摂る。
マグネシウムはカルシウムの吸収を促進するので、一緒に摂った方がいいのです。
カルシウムを豊富に含むのは牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、マグネシウムは大豆、ゴマ、ナッツ、さらに緑黄色野菜や海藻類なら、カルシウムもマグネシウムも一緒に摂れます。ヨーグルトにゴマをかけたり、ホウレンソウのゴマ和え、ブロッコリーのシチュー、カボチャのポタージュ、ワカメの酢のもの、などがお勧めです。
②ビタミンDを摂る。
ビタミンDもカルシウムの吸収を高めます。干しシイタケや青背の魚などがいいです。
③肉は控えめに
肉の食べ過ぎはダメです。肉は体内を酸性に傾けるので、中和するためにカルシウムが使われます。カルシウムが十分に摂取できていないのに、肉を頻繁に食べると、骨や歯からもカルシウムが溶け出て使われることになるのです。
④運動をする
適度な運動をして骨に刺激を与えることです。そうすることによって体内にとり込まれたカルシウムが有効に使われ、骨が丈夫になります。