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健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

家族介護者の多くが介護疲れを感じている


 介護は突然始まるケースが多く、家族介護者は覚悟や準備もないままに、いきなりこれまでの生活からの変化を強いられます。家族が要介護状態になったショック、何から手をつければよいのかわからないことからくるパニック、初めから大きな精神的負担がかかります。

☆介護疲れは誰にでも起こり得る
 介護が始まれば、身体的・精神的な負担が重なり、「介護疲れ」を感じていきます。本来ならば、家族間の協力や近所や地域の助けがほしいところですが、近所や地域との交流が薄れ、親族との関係も疎遠になっている現在、家族介護は周囲から孤立しやすくなります。介護者の体や心のバランスが崩れ始め、精神的に追い詰められ「介護うつ」といった危機を迎える可能性がでてきます。

☆介護者の負担とは
@身体的な負担
 毎日の起床介助、移動介助や体位介助、衣服の着脱、トイレや入浴の介助など、腰、ひざ、腕などに過度な負担がかかります。また、夜中に何度もトイレ介助やおむつ交換に起こされ、十分な睡眠がとれない介護者も多くいます。毎日の介護者の身体的な負担は相当なものになっていきます。

A精神的な負担
 介護者は、要介護者との関係、他の家族や親族との関係、介護スタッフとの関係など、色々な立場の人との人間関係に疲れてしまい、一人で介護を抱え込みがちになり、孤独感を深めていきます。また、他の家族や親族の非協力的な姿勢からストレスをためてしまう介護者は多く、「介護うつ」になる人は「自分だけが介護することを強いられている」と思ってしまいます。

B認知症患者への介護負担
 認知症患者の介護では、要介護者の症状に伴い、心身ともに疲れやすくなります。  要介護者が朝から晩まで同じことを繰り返す、夜中に起き出して探し物をする、失禁が多い、介護者に暴言や暴行をする、外出したがるなどの様々な症状があるため、対応しきれなくなると介護者は疲れ果てていきます。

☆介護疲れしないための工夫
@一人で抱え込まずに周囲を頼ることです。家族介護者は介護の専門家ではないのですから、一人でできないことがあって当たり前です。手始めに家族の他のメンバーや親戚に相談しても良いでしょう。

A専門機関に相談することも大切です。保健センター、高齢者相談センター(地域包括支援センター)、在宅介護支援センターなどの窓口で専門家に相談することができます。

Bレスパイトサービス
 介護には休みがありませんが、介護する側にも一時的休止(レスパイト)は不可欠です。そのための支援をレスパイトサービスと呼び、介護保険を利用して介護サービスを受けることができます。介護者の負担軽減に繋がる、主な介護サービスは次の通りです。
・訪問介護 ホームヘルパーによる訪問介護を利用すれば、家族介護者にとって一時的な休息になります。サービス内容は排泄、入浴などの身体介護、料理、洗濯などの生活援助です。
・デイサービス 要介護者が心身の機能維持や社会的孤立感の解消等のため、デイサービス施設に日帰りで通い、介護者の身体的、精神的負担を軽減します。
・ショートステイ 主に短期入所生活介護といい、一時的に宿泊して全般的な生活介護サービスを受けます。介護者の介護できない事情のあるときや、介護負担の軽減に有効なサービスです。

C介護施設への入居という選択もあります。
 色々な介護負担の軽減をしていても、介護者が疲れ切ってしまうようならば、老人ホームなどの介護施設に入居を検討すべきかもしれません。要介護者と介護者の双方が安心した暮らしができることが一番大切なことですから、広い視点で考えるようにしましょう。介護疲れでせっぱつまってからではなく、在宅介護を問題なく行っている間に、イザという場合の選択肢として介護施設を調べておくとよいと思います。

 介護サービスには、様々な制度があります。要介護者と介護者それぞれに応じた制度を利用し、介護疲れを少しでも軽減すべきです。一人で頑張らないで。