阪神グリーンクラブ・ニュース 203

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法律相談 弁護士 原田 弘 先生

賃借人の残置物の処分自力救済の認定は例外的…


Q.質問

 私はアパートの一室をAに貸していましたが、契約が終了しAは引っ越していきました。ところが部屋にはAの荷物がまだ残されており、Aに催促しても一向に動いてくれません。私のほうで勝手に処分してもかまいませんか。

 

A.回答

  賃貸借契約が終了すると、賃借人は賃借物の中にある動産類を収去して、建物を借りた時の状態にして明渡す義務があります。しかし、借主が動産類を収去して建物の明渡しをしないからと言って貸主が勝手に収去するのは「自力救済」と言って、他に手段、方法があるような場合は許されません。

 自力救済についての判例があります。事案は、「…明渡しが出来ないときは室内の遺留品は放棄されたものとし、賃貸人は、保証人又は取引業者立会のうえ随意遺留品を売却処分の上債務に充当しても異議なきこと」との自力救済特約に基づき、処分した事案で、賃貸人は処分する前、顧問弁護士に相談して、この特約が適法との判断に基づいて処分したものですが、賃借人は不法行為に基づき損害賠償請求をした事案です。裁判所は賃貸人とそれに助言をした弁護士に損害賠償を命じたものです(浦和地判平成6・4・22)。

 このように、自力救済は決して実行したらいけません。
 この場合、他の手段、方法とは、建物の中にAの荷物が残されているような場合は、まだ明渡しがなされておりません。そこで、Aに対し建物明渡しの訴えを起こし、Aに対する明渡しを命じる判決に基づいて建物明渡しの強制執行を行う必要があります。動産類はその場で競売に付します。こうした場合の動産類には無価値なものしかないのが普通ですから、貸主の方で買い取りそれを捨てるということになりそうです。こうした無用の時間と費用を節約するには、明け渡し時にAさんから明渡書と、その書面に「万一残置した物があるときは、所有権を放棄しますので、廃棄等処分して頂きますようお願い申し上げます」との書面を受領しておくとよいでしょう。