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健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

高齢者に起こりやすい薬の副作用


 高齢になると持病が増え、毎日服用する薬が多くなります。
その結果、時に薬の副作用症状が出ることがあります。今回は、患者数の多い病気で処方されることがある薬の副作用についてご説明しましょう。

1.不眠症・うつ病の薬
@不眠症の薬
 べンゾジアゼピン系の薬は古くからあり、今でも最も多く処方されています。高齢者の場合、服用直後や夜中に目を覚ましてトイレに行く時などにふらついて転倒し、場合によって骨折することがあります。また、長年べンゾジアゼピン系の薬を服用していると、認知症の可能性が高まります。
Aうつ病の薬
 うつ病に使われる三環系抗うつ薬も慎重に使うべきです。三環系抗うつ薬による副作用には、便秘、口渇、認知機能の低下、眠気、めまいなどがあります。
Bその他
 薬の副作用によって認知症と紛らわしい症状が出ることがあります。該当する薬は、不眠症のベンゾジアゼピン系の薬、うつ病の三環系抗うつ薬、パーキンソン病薬の一部、排尿障害に使うオキシブチニン、アレルギー薬のヒスタミンH1受容体拮抗薬(第一世代)、ヒスタミンH2受容体拮抗薬などです。これらの薬を使っていて認知症が疑われる症状が出た場合、薬による副作用なのかどうかを医師に確認相談する必要があります。

2.循環器系の薬
@抗血栓薬
 循環器の病気で特に慎重に使うべき薬は、脳梗塞や心筋梗塞の予防に使う抗血栓薬です。抗血栓薬は血液を固まりにくくすることで、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓(血液の固まり)ができるのを防ぐ薬です。抗血栓薬は、血液をサラサラにする反面、出血を起こしやすくするため、胃などの消化管からの出血や脳出血の危険性を高めます。
A降圧剤
 高齢者に多い高血圧の薬には様々な種類があります。その中で特に慎重に使うべき薬は非選択的α1遮断薬、ループ利尿薬、非選択的β遮断薬です。非選択的α1遮断薬には立ちくらみによる転倒、ループ利尿薬には立ちくらみによる転倒に加えて腎機能低下があり、非選択的β遮断薬には呼吸器病の悪化、ぜんそくの副作用があります。なお、参考として75歳未満の方の高血圧治療では、収縮期血圧が140oHg未満、拡張期血圧が90oHg未満を目標にしますが、75歳以上では、収縮期血圧が150oHg未満、拡張期血圧が90oHg未満でよいとされています。

3.糖尿病の薬
 糖尿病の高齢者が特に慎重に使うべき薬は、血糖値が下がりすぎて低血糖を起こしやすい薬です。低血糖になると、最初は冷や汗、手の震え、動悸、生あくびなどの症状が出るのが一般的です。ところが、高齢者ではこれらの症状を自覚しにくくなり、低血糖が進んで思考力や意識の低下を起こしてから周囲の人が気づくこともあります。
 また、糖尿病が原因で動脈硬化が進行していると、強い低血糖によって脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性が出てきます。低血糖を起こしやすい薬は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの、膵臓からの分泌を促すスルホニル尿素薬や、ブドウ糖を尿と共に排泄するSGLT2阻害薬、これは膵臓でインスリンを作ることができない人が使うインスリン製剤です。SGLT2阻害薬は、脱水、尿路・性器感染症の副作用なども起こしやすくなります。また、インスリンの働きをよくするチアゾリジン薬は、骨粗鬆症や心不全を起こしやすくします。さらに、ビグアナイド薬は、血液が酸性になる乳酸アシドーシスに注意が必要です。

☆副作用を防ぐには医師や薬剤師に積極的に相談を。
 病気や症状によっては、高齢者が特に慎重に使うべき薬を処方されることがあります。 患者さんや家族の方は不安を感じるでしょうが、それらの薬は必要があって処方されているので、自己判断で使わなかったり、中断したりすると、病気が悪化する恐れもあります。そのようなときには、必ず薬を処方した医師、薬剤師に相談するようにしてください。また、患者さんも自分が服用する薬にはどのような副作用があるのかをよく知っておき、不安な点があれば医師や薬剤師に相談し、詳しい説明をしてもらうとよいでしょう。