阪神グリーンクラブ・ニュース 189

法律相談税務相談健康クリニックTOPへ


法律相談 弁護士 原田 弘 先生

契約の相手方が複数に解除は誰に対して行うのか…


Q.質問

 私はAとの間でAが所有している土地について売買契約を締結しましたが、Aは契約の後しばらくして亡くなりました。Aの相続人は子のB、C、D(三人とも成人)ですが、契約を進めようとしません。何時までも待っていられませんので、売買契約を解除したいと思うのですが、誰に対して手続きを行えばいいでしょうか。

 

A.回答

   Aさんとの間で土地の売買契約をしたが、契約に定めた債務を履行するまでに、Aさんは亡くなり、その相続人B、C、Dの3人とも契約の履行をしようとしないので、契約の解除をしたい。Aさんの相続によってB、C、Dが土地の権利者となったが、売買契約の履行をしない状態となっている。この状態を履行遅滞と言います。相手方が履行遅滞にある状態で、契約を解除するためには、まず、相当期間を定めて契約の履行を催告し、その期間内に相手方が履行しないときに、解除の通知(意思表示)をするということになります。その催告期間はというと、裁判例では金銭の支払いの場合は、1週間程度でよいとされていますが、本件のような土地の売買契約では、所有権移転登記等を要しますので、その期間をみる必要があり、また、履行の場所等の配慮が必要と考えます。

 次に、通知の相手方が複数の場合ですが、代表者1人を選んで通知という訳にはゆきません。Aさんを相続したB、C、D全員に対して催告する必要があります。これを解除権不可分の原則といいます(民法544条1項)。既に遺産分割手続きが行われ、兄弟のうち誰かがすでに売買された土地を取得している場合は、その人だけを相手にすればよいのですが、まだ遺産分割が終わっていない場合、通知の相手方は三名で、全員に対して通知する必要があります。三名に対し、同時に解除通知は出来ないでしょうから、最後に届いた通知を基準に考えることになります。この通知は解除の前提となる重要なものですから、証拠が残るように内容証明郵便で行うようにしてください。期間内に履行しないときに、契約解除をする訳ですが、催告書で催告期間内に履行がないときは、前記売買契約を解除する旨の条件付解除通知としてもよいでしょう。