阪神グリーンクラブ・ニュース 184

法律相談税務相談健康クリニックTOPへ


健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

困ります、あわてます、急な下痢なんて! −下痢型過敏性腸症候群かもしれません−


通勤や通学のとき、また、会議や商談のとき、急に下痢で困ったことはありませんか?このようなことを何度も経験し困っていませんか?
 下痢型過敏性腸症候群は、腹痛・腹部不快感と下痢が主で、それらの症状が長期間持続もしくは悪化・改善を繰り返す疾患です。
 食事をした後すぐに下痢になりやすいのが特徴です。食べ物が腸に入ってくるとすぐに腸の蠕動運動が始まり、その動きが強すぎるために食べ物から水分を吸いあげることができず、下痢となります。たびたび、突然にトイレにいきたくなってしまうので、トイレのない電車の中やトイレの場所がわからないところへのちょっとした外出なども心配です。多い方は1日に7回も8回も排便があるのです。

過敏性腸症候群を発症する原因
 最近の研究では、何らかのストレスが加わると、ストレスホルモンが脳下垂体から放出され、その刺激で腸の動きがおかしくなり、過敏性腸症候群の症状が出るといわれています。ストレスを解消することが大切かもしれません。

下痢型過敏性腸症候群の予防対策
1水分補給
下痢が原因で水分不足にならないよう十分に水分補給をすること。しかし、一度にたくさんの水分を摂ると腸を刺激して下痢になります。一度には少しずつにして、回数を多く飲むことで水分補給に努めるようにします。

2食事
@体が余分な水分を溜め込まない食事にします。
水分を溜め込んでしまう食事とは、塩分の濃い食事です。パンには意外にもたくさんの塩が使われていますし、パスタは茹でる際に塩を入れますので、案外パスタに塩分が入り込んでいるのです。うどんやそばは汁を残すようにしましょう。主食はやはりお米がおすすめです。
A腸を刺激する食べ物は控えましょう。
・脂分の多い食事(揚げ物・脂身の多い肉・生クリームたくさんのケーキ)
・刺激物が多い食事(唐辛子・カレーなど)
・酸味が強い食事(酢・レモン・グレープフルーツなど)
などは控えた方がよろしいようです。(アルコールもなるべく避けましょう。)
B腸が過敏に反応しない食べ方をする。
なるべく消化の良い、温かい食べ物を食べるようにしましょう。例えば、雑炊・味噌汁・うどんや、大根の煮物、煮魚などがおすすめです。栄養バランスも考えながら、消化の良い食事を心がけましょう。

下痢型過敏性腸症候群の薬物治療
1整腸剤・下痢止め
軽症の場合は、腸の働きを整える整腸剤や消化管機能調整剤で治療します。下痢の症状が強い時には下痢止めを使うこともあります。

2不安などの精神症状改善の薬
ストレスや不安を和らげ、精神症状の改善を図るうえで、抗うつ剤や抗不安薬が有効な場合があります。

3セロトニン受容体拮抗薬 
セロトニン受容体拮抗薬は消化管運動亢進に伴う便通異常(下痢・排便亢進)を改善するとともに、大腸痛覚伝達を抑制し、腹痛及び内臓知覚過敏を改善することが期待されています。
 2008年10月、「男性における下痢型過敏性腸症候群」を効能・効果として、この薬が発売されました。さらに、2015年5月「女性における下痢型過敏性腸症候群」に関する効能・効果追加の承認を取得し、「女性の下痢型過敏性腸症候群」の患者さんにも使用できることとなりました。

(参考)セロトニンの作用:ストレスなどによって遊離が促進されたセロトニンが、腸管神経に働き、消化管運動を亢進させ、便通異常を引き起こします。また、腸が受けた刺激によってもセロトニンが遊離し腸の痛みを脳に伝えます。