阪神グリーンクラブ・ニュース 183

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法律相談 弁護士 原田 弘 先生

無催告解除及び動産処分の特約


Q.質問

 私が所有するアパートの住人Aが家賃を滞納しています。Aは家賃の滞納がしばしばあり、また酒を飲んで暴れたりして近隣の住民に迷惑をかけています。
 賃貸借契約書には「賃料の支払いを一ヶ月分でも怠ったとき、その他本契約に違反したときは、何らの催告なしに契約が解除できる」と記載されており、また、契約が解除されて1週間経過したときは賃貸家屋内にある動産類を賃借人の費用負担で、賃貸人が自由に処分しても異議を申し立てない旨の特約がありますので、いきなりAに解除の通知を出し、業者に依頼して明渡を実行したいと思っています。如何でしょうか。

 

A.回答

  公的機関である裁判所によらず、自分の判断と責任で契約の解除とそれに続く明渡しまで行うことを自力救済といいます。

 現在の法制下では、自力救済について、緊急性があり、他に方法がない等の事情でもない限り正当化されません。裁判例に現われて来るものは不法行為となるものが多いようです。

ご質問の内容を見てみましょう。

賃貸借契約書には賃料の支払いを一ヶ月以上遅滞したときは直ちに賃貸借契約を解除できるとされているようですが、何回も賃料の支払いを滞らせているようで契約を解除するのはよいのですが、解除して直ちに強制退去の実力行使を行うというのはいけません。

業者に依頼して強制退去させるのは、所謂自力救済にほかならず、契約書に記載されていたとしても、正当化されません。裁判例では、賃貸人が顧問弁護士と相談し、自力救済の特約が有効であるとの助言を得たとしても賃貸人が貸家内の家財道具を廃棄処分したときは、賃貸人及び顧問弁護士の不法行為が認められるとして損害賠償を命じた例もありますので十分注意することが必要です。

従って、自力救済条項が契約書に記載されていたとしても、賃料不払い(債務不履行)を原因としてAとの間の賃貸借契約を解除して、面倒でもAに対し建物明渡の裁判を提起し、判決を得て、執行官による強制執行によって建物の明渡を得るという方法によるべきです。