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健康クリニック 村木クリニック院長 医学博士 村木 宏要 先生

あなたは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では?


睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に大きないびきと共に呼吸が止まることを、一晩のうちに何回も繰り返す病気です。呼吸が10秒間以上停止する場合が無呼吸と定義されています。SASの場合、呼吸は必ず再開するので、夜間の無呼吸で命を落とすことはほとんどありません。しかし無呼吸の間は、必要な酸素を取り込むことができず、全身の臓器に大きな負担をかけます。

1.睡眠時無呼吸症候群の症状と人体への影響
1日中の異常な眠気
 睡眠中の無呼吸で体内の酸素が不足すると、脳が目覚めて、呼吸を再開させる指令を出します。SASの場合は、一晩に何回も無呼吸を繰り返すので、そのたびに脳が覚醒することになります。つまり、脳は深く眠ることができないのです。睡眠時間は充分だと思っても、寝不足とほとんど変わらない状態です。そのため、「熟睡感がない」、「日中に強い眠気が起こる」、「集中力が低下する」といった症状が現れます。
2放置すると命に関わる合併症
 最近の研究で、無呼吸によって起こる「酸素飽和度(血液中の酸素と結合したヘモグロビンの割合)」の低下が、健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。正常な酸素飽和度は98%前後です。ところがSASで呼吸が1分ほど止まると、酸素飽和度は50‐60%になります。幸いSASの場合は呼吸が再開するので、酸素飽和度はすぐに回復します。しかし、短時間でも低酸素状態が一晩に何回も、しかも毎晩起こるのですから体には大きな負担になります。その影響を特に受けやすいのが循環器系です。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などの発症リスクが高まることが報告されています。

2.SASの検査
 確定診断には、睡眠中の呼吸状態などを調べる「睡眠検査」が必要です。
☆ポリソムノグラフィー(PSG)
 一晩入院して行う睡眠検査です。脳波、筋電図、心電図、酸素飽和度、いびき、口・鼻の気流、体位など20種類ほどの項目を測定するセンサーを体に取り付けて、睡眠や呼吸の状態を詳しく調べます。睡眠時無呼吸症候群の診断や治療方針の決定に不可欠な検査です。

3.睡眠時無呼吸症候群の治療
 主な治療法には次のようなものがあります。
☆CPAP療法
 最も有効な治療法とされているのが、「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法」です。睡眠中、鼻に装着したマスクから適切な圧力をかけた空気を持続的に送り込み、上気道が閉塞するのを防ぎます。装着したその日から「無呼吸が大幅に減った」「ぐっすり眠れたなど、劇的な効果が得られます。但し、病気そのものを治す治療法ではないので、継続して効果を得るためには、基本的に一生続けることが必要です。
☆鼻や喉の病気を治療する
 鼻炎、鼻中隔症、炎など鼻の病気があると、CPAP療法の効果が充分に得られないことがあります。耳鼻咽喉科で鼻の病気を治療することが必要です。
◎睡眠時無呼吸症候群が原因で高血圧になる。
 SAS患者さんの中で50〜90%の方が高血圧を合併しています。SASが高血圧を引き起こす要因として、夜間の低酸素血症や覚醒反応(無呼吸のたびに苦しくて脳が目覚めてしまう現象)により交感神経が興奮することがあげられます。また、SASの患者さんは、血圧が一日中高い状態に陥り、心臓病や脳血管障害も引き起こす可能性があります。
☆睡眠時無呼吸症候群を治療すると高血圧も改善される。
 SASを合併していない高血圧の方は、生活習慣の改善やお薬によってコントロールできます。しかし、SASを合併している方はSASの治療も行いましょう。高血圧がコントロールできていない方は、SASを疑い、SASの検査を受けるようにしましょう。なぜなら、SASを治療することによって無呼吸はもちろん高血圧もコントロールできるからです。特にCPAPと呼ばれるSASの治療法では高血圧が劇的に改善されたという報告があります。

             このように睡眠時無呼吸症候群は、様々な病気の一因となることがあります。放置せずかかりつけの医師にご相談下さい。