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法律相談 弁護士 原田 弘 先生

崖崩れによる損害の責任-造成宅地も土地の工作物-


Q.質問

私は10年ほど前に造成された住宅地に家を建てて住んでいます。先般、台風による強い風雨で隣地との崖が崩れ、隣地に土砂が流出しました。このような場合、私に責任があるのでしょうか。

 

A.回答

まず、造成された崖が誰の所有に属するかをはっきりさせる必要があります。仮に、崖の下に隣地との境界票があれば崖は貴方の所有ということになり、土砂の流出について貴方に責任があります。民法は717条で「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは・・所有者がその損害を賠償しなければならない。」としており、この所有者の責任は無過失責任とされています。

 従って、貴方は損害賠償責任は免れません。この造成宅地が土地の工作物にあたるか否かについては問題がありますが、土地の工作物にあたるとするのが大勢のようです

 次に、再び土砂の流出の恐れがあるときは、隣地の所有者又は占有者は貴方に対して、流出防止のための妨害予防の請求ができます。
 それが緊急を要する場合には裁判所に擁護壁等の設置を求める仮処分を求めることになります。これらの点について、東京高等裁判所の判決があります(昭和51年4月28日判決)。これら両土地は「…相隣地の関係にあり、…将来の土地崩壊を予防することは、両地にとって等しく利益になり、その必要も両地等しく存するといえる。
しかも、その予防工事には莫大な費用を要する…」として予防には民法上の規定はないものの、土地相隣関係の調整の見地から考えるべきだとして「擁壁については高地低地間の界標、囲障、しよう壁等境界線上の工作物に近い性質をあわせ有する」として共同の費用(折半)で設置すべきだとしています。従って、予防工事の実現については、まず両者の協議、合意でまずなすべきであるが、協議が調わなければ、一方がこれを施工し、その費用の補償を他方に請求すべきだとしています。特に、自然災害等の場合で、擁護壁の設置が共同の利益になるような場合には共同の費用で設置すべきだとする考え方が強くなってきていると云われています。